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パリ最新情報「2024年パリ五輪、ホテル料金がすでに高騰、揺れる宿泊業界」 Posted on 2023/08/22 Design Stories
パリ・オリンピック開幕まで1年を切った今、2024年夏のホテルの宿泊料金がすでに高騰している。
またこの現象は首都パリで特に顕著だが、他の開催都市でも同様だという。
仏紙ル・パリジャンが8月上旬に行った調査によれば、今夏から24年8月にかけての宿泊料金は、平均で6,6倍にも跳ね上がっているということだ。
仏紙ル・パリジャンは調査において、イル・ド・フランス(パリ首都圏)および競技会場に近い郊外のホテル12軒を無作為に選んだ。
その中で、エッフェル塔にも近いパリ15区にある3つ星ホテルは最も値上がりが激しく、一室90ユーロ(約14220円)から1363ユーロ(約21万5000円)と15倍以上の差があることが判明した。
12軒のうちで値上がりの低いホテルを見ても、五輪期間中では通常より約3倍の価格設定だという。
パリ・オリンピック開催中は、およそ1500万人の観光客がフランスを訪れると見込まれている。
パリ首都圏のホテルではすでに予約を開始したところもあり、陸上競技が開催されるスタッド・ド・フランスから徒歩10分という立地にあるホテルでは、2024年7月25日から8月11日までの期間、早くも35%の部屋が予約済みということだ。
しかしながらパリにおける宿泊施設の急激な価格高騰については、「高すぎる」と疑問視する声も現地で上がっている。
パリ首都圏、ホテル産業組合会長のフランク・デルヴォー氏はこうした高騰問題について、「それを禁止する明確な法律がないため、今年の夏よりも部屋代が高くなるのは事実です。しかし私たちも節度ある行動を内部で呼びかけています」と、仏ラジオ番組で明かした。
フランスの観光大臣もまた、この価格騒動を疑問視している。
同観光大臣は、事態を沈静化させるために取り組んでいる方法のひとつとして、各種プラットフォームを整える憲章をこの秋に提案するつもりだと発言した。
提案が通れば、たとえばBooking.comのような予約サイトにて、価格が不釣り合いと判断された場合はホテル側に警告を発することができるようになるという。
このように、パリ首都圏ではオリンピック時のホテル料金、価格騒動が著しくなってきた。
一方でフランス政府は観光業界の質を上げるべく、「クオリティ・ツーリズム」ラベルの強化を促している。
クオリティ・ツーリズムラベルとは、優良なホテル・カフェ・レストランに授与されるバッジのことだ。
これを政府から取得するためには、顧客にサービスを提供するだけでなく、快適さ、清潔さ、地元産のより良い食事、優れた語学力を提供する必要がある。
なお審査をクリアした施設はパリ・オリンピックの公式HPに掲載される予定だ。
2024年7月〜8月にかけては、約1万5千人のオリンピック選手と1500万人の観光客がフランスに訪れると言われている。
現地パリではホテルの料金問題もさることながら、埋まらない雇用についても頭を抱える。(大)