欧州最新情報
パリ最新情報「100年前のパリの写真1万点、市が無料公開へ!」 Posted on 2022/07/14 Design Stories
6月末より、パリ市が約100年前のヴィンテージ写真をホームページ上で無料公開している。
これは、パリ旧市街の遺産管理を行うCommission du Vieux Paris(パリ旧市街委員会)が1916年より撮影してきたもので、パリ市が管理していた。
写真の数はおよそ1万点にも上る。
今回、市はそのすべてをデジタル化することに成功したのである。
これらの起源は、1916年、委員会が保存対象建造物の国勢調査を開始し、「芸術的・考古学的記録」の作成に着手したことにさかのぼる。
写真家はフリーランスのシャルル・ランソー氏。
彼が1923年に引退した後は、アシスタントだったエドゥアール・デプレ氏に譲られた。
Googleマップを見るように、100年前のパリにタイムスリップすることができるので、ぜひリンクからご覧いただきたい。
https://fnp.huma-num.fr/adws/app/515ec27b-90ce-11ec-a660-af5a22dfde2b/
100年前といえば、パリは「狂乱の時代」などと呼ばれ、一大文化を築き上げたエポックとなる。
第一次世界大戦の傷を癒やそうと、つかの間の平和を謳歌した華やかなパリの姿が写真からもうかがえる。
パリ中心部には世界各地から芸術家が集まっていた。
ピカソ、モディリアーニ、シャガール、ダリなど、巨匠たちはこの街で現代ヨーロッパ文化の基盤となる巨大なうねりを生み出した。
ファッションの世界ではココ・シャネル、ポール・ポワレが台頭する。
1920年代には女性の社会進出がさらに進み、より活動的なギャルソンヌルックが注目を集めた。
このように100年前のパリは、ありとあらゆる芸術が生まれ進化した、まさに黄金時代であった。
※現在の警察署がある、パリ中心部シテ島の様子。
現在とさほど変わらない100年前の街並みには、少し感動を覚えるほどだ。
ファッションがドレスから軽装になり、馬車が自動車になったことを除けば、このままタイムスリップしても迷わずスイスイとパリの街を歩けそうな気がする。
また今回パリ市が公開した地図内では、100年前の歴史的建造物だけでなく個人の邸宅、アパート、公共施設、カフェやブティックの様子も掲載されている。
さまざまな階級の人が躍動感ある形で写真に収められており、当時の様子を知ることができる貴重な資料が揃っている。
なおここまで多数の写真を公開するのは、フランスでも史上初となる。
1万点の写真の中には、1960年付近までの作品も含まれている。
パリ旧市街委員会によれば、取り壊しの対象となった建築物もすべて写真調査を行ったため、現在では見られない画像を発見することもできるという。
今後はコレクションを徐々に増やす予定もあるとのことだ。
※現在のパリの様子。やはり100年前とほとんど変わらない。
一世紀前のパリの様子は、細かいところを除けば今と大きく変化していない。
この先100年後には、現在の私たちの様子が再び公開されるのだろうか。21世紀以降、パリでは大きな事件が勃発したり、ユニークなサブカルチャーが生まれたりしているが、保存されるとしたら一体どんな場面が切り取られるのだろう。
そんなことを考えると、今回の企画はなかなかにロマンのあるものだった。(オ)