欧州最新情報
パリ最新情報1「ルーブル美術館がコロナで閉館中。日仏の違い」 Posted on 2020/03/04 Design Stories
中国の上海市や北京市がここにきて、新型コロナの感染拡大が続く日本からの渡航者に対し隔離措置を行うと相次いで発表した。何で、と驚くのは私がパリ在住者だからだろうか。なぜ、日本は春節以降、中国からの渡航を認め続けて、ここまで国内の感染者を増やし、挙句に発生源であり拡散国でもある中国から渡航制限を受けるまでに落ちぶれてしまったのか。この問題は日本国民に計り知れない衝撃を与えているはずだ。その上、世界各国には本当にまずいメッセージを送る結果になっている。つまり、この勢いでいくと、日本がコロナ拡散国にすり替えられてしまいかねないし、なんとなくそうなりつつあるのだ。ここで暮らしている私たちの肌感としては…。少なくとも今は、日本も中国も同じ保菌国の扱いになった。そうなると、日本人はもうどこへも行けなくなるばかりか、世界でビジネスをし難くなる。現に、今アメリカが日本への移動制限を検討しているのだが、中国、米国という経済大国に日本のビジネスマンが渡れなくなるとどうなるか、考えてもみてほしい。これはひとえに、日本政府が中国人旅行者を入れ続けたことから始まる一連の後手後手の結果、なのである。この責任を政府はとれるのだろうか? ここからどのような手を使い、この苦境を払拭できるというのであろう。私たち海外で生活をする日本人は特に、日本政府への絶望と怒りしか今は起きない。本国がこのような状態であれば海外で頑張る日本のビジネスマンも孤立を余儀なくされる。メモ帳棒読みの育ちのいい閣僚の皆さんに対し、絶望しか起きないのは私だけか。海外在住者は批判や差別の目を潜り抜けながら、一日も早いコロナの終息を願いながら、息を潜めて生きている。
ルーブル美術館は昨日、一昨日と閉館となっている。従業員たちがコロナ対策が万全じゃないということで働くことを拒否しているからだ。私は早速、ルーブル美術館に電話をしたが、応対は機械で、電話に出ない。「本日も現時点では閉館中でございます」というアナウンスだけが流れる。(その後、3/4(水)12:30現在、ルーヴル美術館は開館)従業員はエントランスなど観光客と触れ合う場所にガラスの壁を築いてほしいと要求をしており、これが通るまでは閉館が続きそうな気配だが、いつ、再び開くかは分からない、ということであった。フランスの場合、従業員が業務遂行する上で危険を感じる場合、その現場から退く権利が補償されてる。(日本でも各地の大小主要美術館が2月末から3月中旬をめどに現在、閉館中)
フランスは感染者が200人を越えたが、コントロールはそれなりに出来ている状態かと思う。すでに、5000人以上が集まる施設でのスポーツやイベントは中止が決まっているが、混乱した状態にはないしここには美術館や観光地は含まれていない。例えば、オルセー美術館やディズニーランドは通常の営業をしている。カフェやメトロなども特別な変化は見受けられない。アルコール消毒剤などは現在、スーパーから商品が消えているが、人々がパニックになっているという印象はない。
バラエティ番組がほぼないフランスは討論番組がその位置にあり、連日、コロナウイルスへの対処の仕方などが放映されており、また、連帯・健康省のオリビエ大臣が毎日、懇切丁寧に国民に向けてメッセージを送っているので、この政治的誘導が功を奏していて、現状、大きな混乱はない。単純に日本とフランスを比較したくないけれど、日本はもう少し政府にしっかりしてもらわないとならない。頼りないというのが率直な感想である。
※パリに観光で訪れる皆さんへ、今現在は入国制限はありませんが、いつどのような状態になるかわかりませんので、緊急の場合は在仏パリ日本大使館にお問い合わせください。DS編集部も出来るかぎり最新情報をお伝えしていきます。