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パリ最新情報「パリ・イスタンブールを結ぶ元祖オリエント急行、豪華内装が初公開!」 Posted on 2022/10/22 Design Stories
伝説の豪華列車、オリエント急行のプロジェクトがパリで絶賛進行中だ。
1883年に誕生し、作家アガサ・クリスティのインスピレーション源にもなったオリエント急行。
自動車の普及などで70年代後半には惜しまれつつ廃止となったが、2024年の五輪開催に合わせてパリ・ウィーン間(限定3本)で復活することが決まっている。
しかしこの度、運営元である仏ホテルグループのアコーはさらなる追加情報を発表した。
それは、2025年に本格始動するパリ・イスタンブール間の運営や内装について。
2024年のウィーン方面よりさらに長く、オリエント急行の目玉とも言えるイスタンブール行きへの詳細が初めて明らかになったのだ。
10月20日にはパリ7区で初のお披露目会が行われたので、ここでご紹介したい。
お披露目会は、写真、映像、3Dバーチャル見学の三部構成だった。
公開されたのは、「第3世代列車」と呼ばれる新オリエント急行の豪華内装で、主にはバーラウンジ、レストラン、スイートルームの3つ。
ゲラン・エルメスといった一流メゾンの内装も手がける仏建築家、マキシム・ダンジャック氏がデザインを担当した。
まず目に入ってきたのは、落ち着いた色調の内壁に、緑のビロードソファが映える美しいバーラウンジだ。
この内壁にはローズウッド(マメ科の広葉樹、赤茶色が特徴の高級木材)が使用され、中央部分にあるバーカウンターには大理石を用いているという。
そして各テーブルの両側にはコールボタンを2つ用意しており、1つはシャンパンサービス専用に、2つ目はスタッフを呼び出すための専用ボタンとなっている。
またバーラウンジ最奥ではピアノの生演奏も予定されているとのことだ。
レストラン車両もシックな色で統一され、革製の椅子や木製パネルがくつろいだ雰囲気を醸し出す。
天井は開放感を高めるため鏡張りとなっていて、使用するカトラリーには過去と同じ銀製のものが使用される。
さらに、スイートルームでは木壁のほかに革でできた特徴的な壁が登場する。
バスルームはもちろん全室完備で、ベッド(200×140サイズ)部分にはパールやブロンズビーズで手刺繍されたヘッドボードが備え付けられる。
※客室の設計図
パリ・イスタンブール間を結ぶ新オリエント急行は、プレジデンシャル・スイートを含む計12両の寝台車、1両のレストラン、3両のバーラウンジ、1両の荷台車を含む17両編成となる。
運行開始は2025年初めを予定しているが、料金やこれ以上の情報については「今後少しずつ発表していく」と運営元は明かした。
しかし仏メディアの間では「数万ユーロ(数百万円)の運賃がかかるのは間違いないだろう」と囁かれており、世界で最も豪華な列車はその名を復活させることになる。
なおバスタブ付きのプレジデンシャル・スイートについては、12月に米国のマイアミで公開が予定されている。(予約開始は2023年から、合計で64名の乗客が収容可能)
※内壁に使用されるパネルの一例
建築家マキシム・ダンジャック氏は今回の内装について、「1920年代アール・デコの世界感を復元し、19世紀と21世紀をつなぐ内容にしたかった。イスタンブールへ向かう新しい列車は、フランス最高峰の職人によって見事に再現された」とコメントしている。
実はこの新オリエント急行は新しい車両ではなく、2015年にポーランドで発見された、
1920〜30年代のオリジナル車両を全面改装したものだ。
2011年から始まったプロジェクトであったが、今月に入って初めて一般公開されたことでファンの期待もますます高まるのだろう。
さらなる情報が入り次第、再び現地パリからお届けしたい。(や)
※3Dバーチャル体験では実物大の空間が広がった