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パリ最新情報「伝説の豪華列車『オリエント急行』、パリ・ウィーン間で復活へ」 Posted on 2022/07/09 Design Stories
20世紀における豪華旅行の代名詞だった、誉れ高き欧州横断列車「オリエント急行」。
1977年より廃止されていたオリエント急行だが、この度パリ・ウィーン間で復活することが決まった。
2024年パリ五輪の開催期間中に一般公開される。
オリエント急行の誕生は今から140年前の1883年であった。
ベルギー人技師ジョルジュ・ナーゲルマッカーズの指揮の下、オリエント急行は西洋と東洋の2つの世界を結ぶことを目指した。
初めての運行はパリ・ウィーン間。
その後、列車はパリからヴェニスへ、1919年からはパリからイスタンブール(旧コンスタンチノープル)へと路線を拡大し、長年の成功を収めたのである。
当時、オリエント急行は豪華でモダンなものの代表格であった。
列車そのものがアートと言われ、絢爛豪華な空間と最高級のディナー、そして車窓に流れる感動的な景色。
個室のベッドにはシルクのシーツ、レストランでは銀のカトラリーが使用され、バスルームの床には大理石が施されてあったという。
そんなオリエント急行のキーワードはエレガンスと洗練。
1920年頃には内装に高級木材の寄木細工があしらわれ、アールデコの宝石箱のような姿に見事変身した。
ところが、1977年には自家用車の普及でオリエント急行の旅は終わりを告げてしまう。
鉄道車両はその後所有者が変わったり、売却されたり、そして放棄されたりして散逸していった。
今日では別会社が運営する「ヴェニス・シンプロン・オリエント・エクスプレス」が登場し、オリジナルのオリエント急行と似たサービスを提供している。
しかしSNCF(フランス国鉄)と仏ホテルグループのアコーは、2011年より元祖オリエント急行の再生プロジェクトに取り掛かった。
プロジェクトは水面下で行われた。
SNCFは1920〜1930年代のオリジナル車両17台をポーランドで発見、2018年にフランスに送還し、仏職人によって修理・改装を施した。
新オリエント急行の内装は、その歴史と伝説とともに忠実に再現されるという。
2024年の復活時は原点回帰としてパリ・ウィーン間での走行が決まっている。
ただSNCFの意欲はそれだけにとどまらず、いずれはパリと東京を結ぶ世界最長の横断列車にしたいとのことだ。
2022年10月には、パリ市内でリニューアルされたオリエント急行の車両がお披露目される予定だとプレスリリースは発表した。
なお運賃や運行頻度などの詳細はまだ明らかになっていない。
フランスではこうして、2024年に向けたプロジェクトが至る所で始まっている。
一方、今夏のフランスでは列車予約が過去最高記録を更新している。
7月〜8月の二ヶ月間の出発においては、コロナ禍前の2019年より多い800万枚の切符が売れており、現在でもその勢いが続く。
理由にはガソリン代の高騰があり、列車を利用して節約を図る家族が増えているとのことだ。
オリエント急行はそもそも高級列車のため節約とは関係ないのだが、フランス国鉄の代表は「環境のためにも車から電車への切り替えを奨励したい」とコメントを発表している。
フランスのみならず欧州で高まる列車の旅。2024年には世界の鉄道ファンが再びパリに集まることになりそうだ。(や)