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パリ最新情報「生まれ変わったパリ・ノートルダム大聖堂へ。輝く内部に驚愕!」 Posted on 2025/01/18 Design Stories  

 
パリのノートルダム大聖堂が再公開されてから、1カ月以上が経った。パリ教区が1月15日に発表した報告によると、最初の1カ月間で86万人を超える人々が大聖堂を訪れたという。その数は、1日平均で約3万人――。確かに、これほどの寒空の下でも、大聖堂の周りには「パリで一番」と言えるほどの人だかりができている。
 

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再開直後のノートルダム大聖堂は、予約枠が即座に埋まり、まったく空きがない状態が続いていた。その人気ぶりを物語るように、予約なしでの入場も可能だったが、昨年の暮れの段階では入場までに2〜3時間待つのが当たり前とされていた。
しかし現在では、平日であれば比較的スムーズに入ることができる。公式サイトからの予約も、タイミング次第で問題なく取れるようになった。
 

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※現在のノートルダム大聖堂は予約が推奨されている。入り口前の列は3つあり、予約あり、予約なし、礼拝用に分かれている

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※新たに設置された洗礼盤



 
実際に訪れてみると、まず、大聖堂の真っ白な内壁が目に入る。火災前の内壁はセピア色だったと記憶しているが、今回は徹底的に修復洗浄が行われたのだろう。その真新しさと明るさに、まるで「今世紀に建てられたばかり」と錯覚するような印象を受けた。
 

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さらに、生まれ変わったノートルダム大聖堂では、「見学ルート」が新しく設けられていた。入場者はそのルートに沿って時計回りに進まなくてはならない。とはいえ、写真を撮ったり、立ち止まって調度品をじっくり眺めたりするのは各自の自由。この柔軟な対応には、「入場無料」を貫く大聖堂のやさしさと懐の深さが感じられた。
 

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内部に並ぶ木椅子や、案内所、キャンドルの購入方法などもすべてが新しい。とくに聖堂内で灯すキャンドルは、今やアプリで購入できるようになった。1300年代に完成したノートルダム大聖堂が、こうして現代に受け継がれていく姿を目の当たりにできることに、思わず感謝の念が湧く。
 

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※新しい椅子。背面には大聖堂の頭文字を取って「ND」と刻まれている

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※キャンドルの購入方法にも時代の変化が



 
わずか5年という規格外のスピードで再建されたノートルダム大聖堂では、絵画や壁画、調度品の隅々にいたるまで完璧な修復が施されている。
「作業には2千人もの人が携わった」という事実は過去の最新情報でもお届けした通りであるが、これほどの建築物を、これほどの早さで復活させた人々の結託こそが何よりも素晴らしい。
 

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※大聖堂内部では「新築」のような香りもわずかに感じられた

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※奇跡的に焼失を免れたという大聖堂の主要部分



 
その他に変わったことといえば、消火に携わったパリ消防士たちのヘルメットが新たに展示されていることや、ギフトショップが洗練され、モダンに生まれ変わったことだろう。ギフトショップは出口付近に円形のカウンターが設けられ、まるでオープンしたての美術館のような佇まいを見せていた。
 

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とにかくすべてが美しく整えられ、輝いていたノートルダム大聖堂。訪れる人々の表情も、どこか明るい。真っ白な壁に照らされているからかもしれないが、大聖堂で元気をもらえたことは確かだ。
事実、フランスのニュース番組では「再開後のノートルダムにはもう6回も行ったよ!」と語る地元住民の姿が映し出されていた。周囲でも「混雑が落ち着いたら行きたい」と話すフランス人が大変多く、ノートルダム大聖堂の人気の高さがうかがえる。
 

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※白い壁に映えるステンドグラス

 
ノートルダム大聖堂の白壁は、これから新しい記憶を刻んでいくのだろう。1000年後には、再びセピア色に戻るのかもしれない。大聖堂に新しく刻まれる記憶に、どうか血と涙が含まれませんようにと願うばかりだ。(大)
 

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