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パリ最新情報「ノートルダム大聖堂、復活! パリの象徴が再び門を開く日」 Posted on 2024/12/03 Design Stories
2024年12月7日、パリのノートルダム大聖堂がついにその扉を開く。火災から約5年半の歳月を経て修復が完了し、訪れる人々を迎える準備が整ったのだ。
※24年7月、再建中のノートルダム大聖堂
11月29日には再開に先駆け、フランスのマクロン大統領が大聖堂を訪れた。それに合わせて、修復を終えた祭壇、大理石の床、シャンデリアなど、大聖堂の内部がはじめてメディアに公開された。
※奇跡的に無傷だった祭壇(火災直後)©Ludovic Marin – AFP
※修復された祭壇 ©Ludovic Marin – AFP
今回はとくに、内装の「色調」に注目が集まったという。白とゴールドを基調にした新しいデザインには、気品やあたたかみ、神々しさが感じられる。訪れる人々をやさしく迎え入れる、エレガントな雰囲気も特徴的だ。
生まれ変わった大聖堂の姿に、これから多くの人が魅了されることだろう。
※大聖堂の天井部分(火災直後)©Amaury Blin – AFP
※大聖堂の天井部分(修復後)©Amaury Blin – AFP
ノートルダム大聖堂の復活に、地元住民も大いに喜んでいる。
大聖堂近くのブラッスリー「エスメラルダ」のオーナー、ロジェ・フレデリック氏は、火災当時の恐怖をこう振り返った。
「廃墟になると思った。そしていつか、人々がポンペイを訪れるようにノートルダムを訪れる日が来るのではないかと恐れた」
観光客が激減し、地域の経済が打撃を受けた日々。それでも地元のカフェや土産物店は店を閉じることなく、再建に携わる職人や技術者たちを迎え入れた。彼らとの交流が新しい絆を生み出し、ノートルダムの復活を支える一部となったのだ。
そんな住民たちは、再開日に合わせて大聖堂から特別な招待を受けているという。
※11月29日、修復後の大聖堂の様子。大統領や職人、関係者が集まった
https://x.com/emmanuelmacron/status/1862538754973438385?s=51
ノートルダム大聖堂は2025年より、年間1,500万人の訪問者を見込んでいる。これは現在一位のルーブル美術館を抑えて、パリでもっとも賑わう文化施設となる可能性が高い。
もちろん、フランス国民からの支持も厚く、11月末に実施された調査では、フランス人の約半数(47%)が「再開後すぐに訪れたい」と回答した。※フランスのラジオ局「franceinfo」調べ。
このようにノートルダム大聖堂は、フランス国内外の人々をつなぐ心強い存在だ。2019年の火災は、それを逆説的に証明したと言えるかもしれない。
※火災前のノートルダム大聖堂
炎に包まれたあの日、多くの人々が崩れ落ちる大聖堂を涙ながらに見守った。大統領から「再建への強い決意」が表明されたのはそれからすぐのことである。
修復の過程を一つ一つ、丁寧に報じ続けたフランスのメディアも印象深い。その姿勢は、まるで大切な家族の成長を見守るかのようであり、国民の気持ちと深く響き合っていたと思う。
一方で、ノートルダム大聖堂は混雑を避けるため、12月3日(火)にいよいよ「オンライン予約システム」をスタートする。今後は公式サイトや専用アプリでの予約が可能だが、開始直後はアクセスの集中が懸念されているため、訪れるには十分な注意が必要だ。
こうして長い歴史を歩んできたノートルダム大聖堂は、現代の技術とともに新しい一歩を踏み出そうとしている。よみがえった大聖堂は、新たなパリの象徴として、これからも多くの人々を魅了し続けることだろう。(大)