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パリ最新情報「ノートルダム大聖堂の十字架、パリの空に復活、火災から5年」 Posted on 2024/05/26 Design Stories
火災事故から5年、パリのノートルダム大聖堂に修復を終えた十字架が設置された。
今回設置された十字架は、23年12月に復活した尖塔部分のものとは別で、大聖堂の後方、サン・ルイ島側に位置する。
2019年の火災ではかなり早い段階で落下したことで、最も高熱の炎を免れていた。
※Le Parisien Official X
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高さ12メートル、重さ1.5トンの堂々たる十字架を修復したのは、ノルマンディー地方の鉄工所、フェル・アール・フォルジュ社だ。
この十字架はもともと、19世紀の建築家ヴィオレ・ル・デュックによって設計されていた。
今回の修復はル・デュックのデザインを継承するかたちで、十数人の職人が一年半以上かけて行ったという。なお復活した十字架は鉄製で、金箔を使った精巧なデザインが施されている。
去る5月24日、ノートルダム大聖堂に十字架が掲げられる直前には、オリヴィエ・リヴァド・デュマ司祭によって祈りが捧げられた。
祈りの中で司祭は、十字架の復活を祝福したほか、「今日は私たちにとっても素晴らしい日。ここは愛の場所であり、誰もが歓迎される場所なのです」と述べている。
その後十字架は、クレーンを使いながら慎重に設置作業が行われた。
設置にかかった時間は45分。風に揺られ、大勢の人々に見守られながらの作業だった。十字架が屋根のフレームにネジ止めされると、近隣の通りからは拍手が沸き起こったという。大工、鉄工、屋根工など、30人の専門家が関わる大仕事であった。
改修工事の責任者であるフィリップ・ジョスト氏は、「再建に関わるすべての職人には真の団結力があります」とした上で、「毎日が困難なことばかりですが、私たちはこれまでと同じように目標に集中しています」と述べている。
ジョスト氏が言う目標とは、約半年後に迫る大聖堂の再開のことだ。一般公開の再開は24年12月8日となっており、今のところ変更・延期のアナウンスはない。
そのため現場では引き続き作業が急ピッチで行われている。約250の企業と数百人の職人、建築家、専門家が関わる壮大なプロジェクトだ。
十字架の復活についてはフランスでも広く報道され、SNS上では「素晴らしい」「職人の皆さん、ありがとう」などと喜びの声が上がった。
今では鉄の骨組みもすっかり日常の光景となってしまったが、これが取り払われる日を待ち望んでいる人は少なくないように思う。
そんなノートルダム大聖堂は、今夏のパリ2024大会で外観部分がお披露目される予定になっている。
2019年4月15日、パリのシンボルであり、毎年1200万人の観光客を迎えるユネスコ世界遺産のノートルダム大聖堂が巨大な火災に見舞われた。
これにより尖塔と屋根の一部は崩壊、炎に包まれながら落下した。しかし昨年12月には焼け落ちた尖塔が見事な復活を遂げる。このたび修復された十字架も、美しい姿で再び天を向くようになった。(オ)