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パリ最新情報「ノートルダム大聖堂を救った職人たちに感謝、パリの高校生が料理を振舞う」 Posted on 2024/04/08 Design Stories  

 
4月4日、再建中のパリ・ノートルダム大聖堂の現場で、高校生100人が現場作業員のためにフルコースのランチを振舞うという、特別なイベントが開催された。
高校生らはパリの職業訓練校、アルベール・ド・ミュン学校(7区)に通う17歳〜18歳の生徒たちだった。
彼らは学校で調理や菓子製造、ホテル・レストラン経営などを専門的に学んでいるという。
 

パリ最新情報「ノートルダム大聖堂を救った職人たちに感謝、パリの高校生が料理を振舞う」

※現在のノートルダム大聖堂。



 
フレンチガストロノミーの将来を担う、若きエキスパートたちはこの日、「大聖堂を救ってくれた人々への感謝」を示すために集まった。
現場テント内ではテーブルがセッティングされ、スーツに身を包んだ生徒たちが大勢の現場作業員を出迎えた。
メニューはフランス料理のフルコースで、前菜、メインディッシュ、デザートの三品。またここで用意されたパンはベーカリー部門の生徒が、デザートはパティスリー部門の生徒たちが担当した。
 

パリ最新情報「ノートルダム大聖堂を救った職人たちに感謝、パリの高校生が料理を振舞う」



 
当日の雰囲気は年末のパーティーのように、賑やかで楽しかったという。
生徒たちもやりがいを感じたといい、普段では接することのないプロの職人たちとの会話を大いに楽しんだそうだ。
参加した生徒の一人は、「学校の研修とはまた違った楽しみがあります。これからいろいろな環境に慣れないといけない。今日は雰囲気もいいし、本当に楽しいです」などと語っていた。

今回の昼食イベントは、ノートルダム大聖堂・修復プロジェクトの会長、フィリップ・ジョスト氏からも「素晴らしい取り組み、職人たちにとっても名誉なこと」だと評価された。
同氏はまた、「再建、修復、ガストロノミーと、他分野ながらも力を合わせるフランスの職人たちを誇りに思う」とも述べていた。
 

パリ最新情報「ノートルダム大聖堂を救った職人たちに感謝、パリの高校生が料理を振舞う」



 
ジョスト氏が語ったように、ノートルダム大聖堂の再建にはフランス国内外から集められた約550人の職人が携わっている。
そのため現場では壁画修復家、ステンドグラス職人、石工、考古学者などが大勢集まっているのだが、徒弟や現場外での作業員を含めると約数千人が大聖堂の再建に関わっているという。

こうした職人たちは、「ノートルダム大聖堂の再建工事は、他分野のスペシャリストと知り合う良い機会でもあった」と述べている。
現に世界遺産であるノートルダム大聖堂で起きた火災事故は、伝統的な職人のほか、3Dエンジニアなど最先端の技術者が集結する結果に繋がった。
5年という異例の早さで行われている再建プロジェクトも、フランスの若者を「サヴォワール・フェール(職人技)」に誘致するきっかけになっているということだ。

来週4月15日には、ノートルダム大聖堂を襲った悲劇的な火災から5周年を迎える。
現在では被害が大きかった尖塔部分が修復され、パイプオルガンの洗浄や礼拝堂の美術品修復作業が進められている。
なおノートルダム大聖堂は2024年12月8日に一般公開される予定だ。そして12月8日〜15日の間には、パリ市民らが参加できる特別ミサが毎日予定されているという。(こ)
 

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