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パリ最新情報「フランス、ロックダウン再延長の可能性、高まる?」 Posted on 2020/12/08 Design Stories
某月某日、商店の再開が始まったフランス、クリスマスを目前に人出が最高潮に達しつつある。市内デパートは入場制限のせいでどこも長蛇の列、道は渋滞し朝夕のラッシュ時間には車で10分で行ける場所に45分もかかる状態が続いている。
一時は9万人弱まで一日の感染者数が増えたフランスだが、その後、様々な制限が効いて1万人前後まで下がった。しかし、ここ数日は減少が止まっている。大きな要因としてメディアが語っているのは、商店の再開ではなく、急激な寒さの到来と言われている。この一週間、真冬並みの寒さになりウイルスは活発化、また、人々は暖を求め密閉された家に籠った。フランスの医者はコロナウイルスが寒さで感染力を高めている、と警戒している。
商店の再開から一週間ほどが過ぎ、人の移動制限の緩和による影響も今後出てくる可能性が指摘されていることから、各メディアは15日に予定されているロックダウン解除を危ぶむ意見を出している。そもそも、マクロン大統領は一日の感染者数が5000人になったらロックダウンを解除したいという意向を示していたが、減少傾向が止まったことで、見通しが立たなくなり、健康相らの発言が翳っている。クリスマスシーズンに入り、人出や人の交流はますます多くなる。24日のイブと31日の大晦日は外出制限をしない政府の方針が裏目に出る可能性がある。ドイツのように、一日の感染者数が今後増える方向に転じた場合、フランス政府がロックダウンの再延長を決定する可能性も出てきた。一番、その行方を見守っているのはいまだ再開出来ないでいるカフェ、レストラン業界であろう。1月20日に再開が約束されているものの、その雲行きも怪しくなっている。寒さ、人出、移動制限の緩和などの要因により、感染者数の再拡大が起きれば、2021年のフランスはしょっぱなから足元をすくわれることになる。
科学者たちがここに来て、口を揃えて言い出している不吉な予言は、年明けにも始まるだろうと言われているコロナ第三波の到来だ。もともと、その可能性が指摘されていたが、感染者数の推移を見ている限り、この不吉な予言の実現が近づいて来た感は否めない。とはいえ、今年一年、国民は辛抱を続けてきた。このクリスマスの祝いムードに水を差すことも難しい。コロナ制限と経済再開の両立の難しさがここでも再び浮彫りになっている。(中)