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パリ最新情報「今年はヴィンテージなノエルに。パリでは蚤の市と兼ねたマーケットも登場」 Posted on 2022/11/29 Design Stories
ヨーロッパ冬の風物詩、クリスマスマーケットがパリでも始まった。
規模の大きなものにはチュイルリー公園、サンジェルマン・デ・プレ、副都心ラデファンス、ノートルダム寺院前などがあるが、パリの最近の傾向としてはテーマをより小さく絞った、「ピンポイントなクリスマスマーケット」が各所で開かれるようになっている。
例えば、エッフェル塔のふもとで行われるスイスヴィレッジ(スイス雑貨・食品に特化)、13区のイタリアヴィレッジ、そして今年で3回目となる日本ヴィレッジなど、フランス文化に限らない独創的なクリスマスマーケットがどんどん登場しているのだ。
さらに今年は「ヴィンテージ」をテーマにしているところが大変多い。
クリスマスというと伝統的なイメージがあるが、毎年ちょっとしたトレンドがあるのも確か。
ということで今年のホリデーシーズンは、おじいちゃんやおばあちゃんの時代に飾られたヴィンテージのデコレーションに回帰する、という現象がパリのあちこちで見られるようになっている。
そんなヴィンテージ・クリスマスをテーマに掲げたマーケットが、11月26、27日にパリの隣町パンタンで開催された。
パンタンとは、パリ19区に隣接する小さな町だ。もとは工業地帯であったが、近年その跡地にカフェやレストラン、展覧会場が建てられ、人や文化が随分と集まるようになった。
会場となったのは、SNCF(フランス国鉄)の貨物駅舎跡を再利用したシテ・フェルティル。
古き良き時代の駅舎の風景を残しつつ、現代風にリノベーションされた建物は「サードプレイス(=オフィスでも家でもない場所 )」として、若いパリジャンにも人気の高いイベント会場となっている。
クリスマスマーケットで必ず売られているものといえば、ツリーのオーナメントやキャンドル、伝統工芸品、おもちゃなどがある。
しかしこちらではピカピカに新しい物は一切売られておらず、まるで蚤の市のような雰囲気が特徴だ。
そのため、50もの出展者が集まる会場にはノスタルジックな花瓶やカラフェ、古着や家具などがずらりと並び、「その物語ごと買いたい」と思わせるような素敵なアイテムがたくさん揃っていた。
クリエイターズマーケットのような一面があるのも、クリスマスマーケットの特性の一つである。
中にはクリスマスと関係のない手作りのバッグやアクセサリー、置物などが売られているのだが、こちらのヴィンテージマーケットではアクセサリーもやはりリユースのもの。
1910年〜1950年代に利用されていたという古いボタンを指輪やピアスに生まれ変わらせ、クリスマス・ギフトのアイデアとして置くところもあった。
そのほか、ガラス製のオーナメント、赤いタータンチェックのテーブルクロス(いずれも前時代を思わせるクリスマスのグッズ)など、10,000m2の会場には100%ヴィンテージなクリスマスを演出するための色々なアイテムを発見することができた。
クリスマスマーケットと蚤の市、という組み合わせはありそうでなかったが、昨今のパリではこうしたユニークなイベントが多く開催されている。
多国籍でヴィンテージ、というのが今年の流行であるパリ、12月にはさらにたくさんのクリスマスマーケットが開かれる予定だ。(内)