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パリ最新情報「6月30日、フランスは元の世界に戻る」 Posted on 2021/04/30 Design Stories
暗く長いトンネルの中にいたフランスに一縷の光が差した。
ワクチン接種のスピードアップと1ヶ月のロックダウンが少しずつ、確実に結果を出してきたようだ。
本日(4月29日)、マクロン大統領は5月3日から段階的に行われるロックダウン解除について詳しく触れた。
5月3日 日中のロックダウンが解除され、10km以上の移動(地方間の移動も)が可能になる。
中、高校生はグループ分けをし、遠隔と対面を組み合わせての授業が再開される。給食はなし。
5月19日 半年以上の閉鎖期間を経て、カフェ、レストラン、バーのテラス席営業、文化施設(美術館、映画館、劇場など)が再開する。
全ての商店も営業を再開する。
*住民10万人に対する新規陽性患者数が400人以下という警戒ラインを超えていないことが条件。パリは現在420,4。
夜間外出禁止令は継続されるが、21時以降からに変更される。(21時から6時まで)
6月9日 カフェやレストラン、バーの屋内営業、スポーツジムが再開。
条件つきでの外国人旅行者の受け入れを再開。
夜間外出禁止令は21時から23時以降に変更される。(23時から6時まで)
6月30日 夜間外出禁止令が完全解除。ただし、ディスコのみ閉鎖のまま。
*全ての活動、営業は政府の定めた感染対策措置を厳守することが条件となっている。
ワクチンについては、これからも年齢で優先順位をつける方法を続けていくが、5月1日より肥満の成人全てに対し、年齢制限なくワクチン接種を可能にした。現在、フランスでは230万人がその対象となる。
マクロン大統領は、新たな変異種が生まれることを避けるために、世界が一丸となってウイルス根絶に向けて前進しなければならないとし、そのためにはワクチン接種が最重要であることを強調した。ヨーロッパはワクチン生産主要大陸になりつつあり、今年中に2億5千万回分の生産が予定されているという。
2022年から23年にかけては20億回分以上の生産を目指している。
世界各国が取り入れようとしている健康パスポートについては、フランスは、「スタジアム、フェスティバル、見本市、展示会など、大勢の人が集まる場所」で健康パスポートが義務付けられることが検討されているようだ。その場合、陰性証明、または抗体(ワクチン)証明書が条件となる。一方、友人の家やレストランや劇場、映画館などの場所へのアクセスには健康パスの必要はないとしており、健康パスについてはこれから議会で詳しく決められると付け加えた。
コロナ追跡アプリ「Tous anti covid」で管理できるようになるそうだ。
今後の状況によって延長される可能性はある(住民10万人に対する新規陽性患者数が400人を超えたり、急激な感染の拡大が見られた場合、地域ごとに措置を取る)としても、ロックダウン解除に向け、具体的に大きく4つの鍵となる日程が定められたことはフランスにとって大きな一歩となった。
それは、順調にいけば、あと2ヶ月の辛抱で「制限なしの自由な世界が戻って来る」という発表なのであった。
しかし、この発表に対し、医療従事者たちは複雑な胸の内を隠せない。これ以上人々を規制し続けられないという事を理解しつつも、まだまだ病院の逼迫は続いており、第4波が来ることも十分想定されるからである。
パリ・サンタンヌ病院のカリンヌ・ルコンブ医師は、政府が定めた住民10万人に対する新規陽性患者数の警戒ライン(400人)はとても高く、この数字でレストランを再開すれば、2週間後には感染が拡大することは間違いない、と危惧している。ちなみにドイツはこの数字を100人と定めている。
医師たちも、ワクチン接種でできるだけ早く集団免疫を作ることがこの状況から抜け出す唯一の手段である、と繰り返した。
これまでの失敗を繰り返さず、本当にこれがトンネルの出口であること、三度目の正直であることを祈るばかりだ。