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パリ最新情報「日本的なミニマリズム、カタカナのロゴ。パリのコーヒーショップで愛される“日本”」 Posted on 2024/02/25 Design Stories  

 
愛すべきパリのカフェ文化に、新しい風が吹いている。
ニューヨークスタイルの「コーヒーショップ」がパリで流行っていることは、昨年のパリ最新情報でもご紹介させていただいた。
ところが現在では、そこに「ザ・コーヒー」とカタカナのロゴを掲げたショップが新しく顔を出すようになった。
テイクアウト用のカップにもカタカナが刻まれ、地元パリジャン・パリジェンヌたちはそれを当たり前のように持ち歩く。
こうした光景には、“コスモポリタン都市”パリの生きた姿を見るようだ。
 

パリ最新情報「日本的なミニマリズム、カタカナのロゴ。パリのコーヒーショップで愛される“日本”」

※カタカナの直線的な文字が、パリの曲線美に不思議なほど溶け込んでいる。



 
マレ地区やサンジェルマン・デ・プレ地区といった、パリらしい街並みに突如現れるカタカナの看板。
この看板を掲げるのは、「ザ・コーヒー(the coffee.)」という名のカフェ・チェーン店だ。
実はブラジルが発祥で、日本式のミニマルなカフェスタイルがインスピレーションの源になっているという。
 

パリ最新情報「日本的なミニマリズム、カタカナのロゴ。パリのコーヒーショップで愛される“日本”」

 
「ザ・コーヒー(the coffee.)」は現在、パリ市内・7カ所に店を構える。
ほかのコーヒーショップと同様、持ち帰り&サステイナブルに特化していて、空間はかなり狭めといった印象だ。
内装のカラーは白・黒・茶(木目)の3色しかない。
無駄なものを徹底的に省いた空間には、コーヒー豆のピュアな香りだけが漂う。
 

パリ最新情報「日本的なミニマリズム、カタカナのロゴ。パリのコーヒーショップで愛される“日本”」

パリ最新情報「日本的なミニマリズム、カタカナのロゴ。パリのコーヒーショップで愛される“日本”」

※オーダーは各自、画面から。キャッシュレスを徹底したのは簡易化のほか治安面を考慮してとのこと。



 
「ザ・コーヒー(the coffee.)」の空間デザインは、日本(主に東京)のカフェスタイルを参考にしている。
シンプルでミニマリスティックなのに「完璧さ」を絶え間なく追求しているところが、ブラジル人創業者の目に留まったのだという。
2018年のオープン以降(パリは2023年)は、ブラジル産のコーヒー豆と日本式のモダニズムを組み合わせたかたちで世界展開を図った。
 

パリ最新情報「日本的なミニマリズム、カタカナのロゴ。パリのコーヒーショップで愛される“日本”」

※サンジェルマン・デ・プレ地区のザ・コーヒー。席数は少ないが、ノマドワーカーやワンちゃんはもちろんOK。

 
シンプルでミニマルは熱度が低いようにも見えるが、パリのコーヒーショップには不思議なあたたかみがある。
無駄を省いた中で生まれた空気感は、伝統的なパリのカフェとはまた違った種類の「余裕」を含んでいるようで、面白い。
 

パリ最新情報「日本的なミニマリズム、カタカナのロゴ。パリのコーヒーショップで愛される“日本”」

※力技で備え付けられたテラスのテーブルが何ともパリらしい。



 
カタカナで書かれたロゴに目を向ける人も少なくない。
このロゴは、コーヒーカップにもショップカードにも、そしてオリジナルのエコバッグにも描かれている。
フランス人にとってのカタカナは、やはり曲線の多いアルファベットとは対照的でとてもエキゾチックなのだという。
折り目正しい印象で、彼らが抱く日本のイメージにも共通しているそうだ。
もちろん、パリは国際都市なのでこうした光景も珍しくないのだが、住宅にしろ店舗デザインにしろ、日本の完全無欠さに惚れ込むフランス人は今も昔も非常に多い。
 

パリ最新情報「日本的なミニマリズム、カタカナのロゴ。パリのコーヒーショップで愛される“日本”」

 
パリに欠かせないカフェ文化は、コーヒーショップの流行により次のフェーズに移ったと言える。
しかし、新旧どちらの姿もパリの「今」だ。お互いが顔を合わせて共存するその姿には、パリの懐深さが大いに表れていると言えるだろう。(大)
 

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