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パリ最新情報「変わりゆくオペラ地区限定、メロンパン・バーガー」 Posted on 2021/11/17 Design Stories
パリの中心地、オペラ地区。
かつて、日本人街と言われたこのオペラ地区には、日本人が経営するラーメン店や寿司屋、カラオケ、日本人スナックがひしめいていた。
今ももちろん、ひしめいているが、日本人オーナーの店は減少傾向にあるし、そもそも、日本人がいなくなった。
今やオペラ界隈にいるのは日本人以外のアジア人たちである。
中国、韓国、東南アジアの人たちばかりが元気なのだ。
昔、60年代風の銀座のクラブみたいな、老夫婦でやってる、とってもレトロなバーがあった。
重たいドアを押して入ると全部日本人サラリーマンで、サントリーとか山崎とか飲んで、粋な世界が広がっていたものである。
今やカラオケは世界共通語になったけれど、20年前はオペラ地区にしかカラオケ屋はなくて、だいたい地下のカーブとか馬小屋を改築したような店が多かった。
狭い階段を下り、重たい鉄扉を押し開けるとやっぱり日本人が演歌を大合唱していたのだけど、・・・。
寂しいことではあるが、コロナ禍という時代だし、仕方がないのかもしれない。
で、今、このオペラ地区で久しぶりに日本の文化、というか、ややアレンジされてはいるが、新しい日本が話題になっている。
それが、メロンパン・バーガーである。
たまたますれ違った若者が「AKIのメロンパン・バーガー食べたか? めっちゃうまいぞ」と話していた。
訊きなれない奇妙な響き、メロンパンとバーガーがどうやって合体するのか想像できず、慌てて耳を傾けたけど、若者連中の足が早いので、その先は聞こえない…。
ただ、「流行ってるね~」と別の誰かが言っていたので、流行ってることには間違いがない。
記者はじっとしていられくなくなった・・・。
もともと、メロンパンはフランスにはなかった。
これが庶民の口に広まり始めたのは2,3年くらい前からじゃないか、と思う。
庶民と言っても漫画好きないわゆるオタクの子たちの間で、メロンパンが大ヒット・・・。
アンパンマンの影響かもしれない。
オペラ地区にはフランス人やアジア人が経営する和食店やラーメン屋が多く、昔はほとんど日本人経営の店だったが、ここ最近は一番人気のラーメン屋も、経営者はフランス人だったりする。
働いている人も見かけは日本人だけど、話すと言葉がぜんぜん通じない。
オペラに集まるのは特に漫画好きな世代の若者が多く、しかも結構アジア人率が高い。
見た感じは日本のオタクにしか見えない。
オタクをそこまで真似る必要があるのか。
仕草や、目つきや、体系や、雰囲気も、全部、そのままオタッキーで、これも一つの現象であろう。
で、AKIというのは、経営母体は知らないけど、オペラで昔から続く、老舗のパン屋さん。
レストランも数件、経営しているが、幅広く和食系の食べ物を扱って成功をおさめている。
売り子さんや料理人には日本人が多いけど、他の国の子たちもかなりいる。
でも、なんとなく日本語が通じる。
みんな、日本が好きなのが、伝わってくる・・・。
ともかく、いつも大行列が出来るパン屋で、お弁当なんかも充実しているし、安いし、日本の巨大スーパーにあるパン屋さんのコーナーにそっくりでもある。
お弁当も扱っていて、そのまま、日本を体現できる場所でもある。
漫画に普通に出てくる世界観そのままだから、受けるのも頷ける。
で、そこにあるのだ。メロンパン・バーガー!
さて、メロンパン・バーガーの正体とは・・・
なんと、メロンパンの間に生クリームとイチゴが詰まっていた。
要は、シュークリームの皮がメロンパンという大胆で驚きの進化系メロンパンなのであった。
これをバーガーと呼ぶのにはかなりの勇気が必要である。
しかし、AKIが決意した時点で、メロンパン・バーガーがオペラの常識となり、伝説となって、一つの時代をオペラに刻んだのだから、これは脱帽に値する。(も)