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ドイツ最新情報「夫婦別姓だけじゃない!選択肢がさらに広がる、夫婦の姓」 Posted on 2024/04/25 Design Stories
日本では未だに夫婦別姓も認められていないが、ドイツでは日本より選択肢が多く、夫婦別姓やダブルネームが認められている。
そして、5月からはその選択肢がさらに広がることが先日決定された。
現在認められているのは以下のとおり。
・夫婦共に夫もしくは妻の姓を名乗る
・夫婦それぞれが自分の姓を名乗る
・夫もしくは妻がダブルネーム(ダブルネームは夫婦どちらか一人のみが可能)を名乗る。
5月以降は夫婦がともにダブルネームを選択することもできるようになり、子供にもダブルネームの使用が認められる。また、子供は成人した際に一方の親からもらった名前ではなく、もう一方の名前を使いたいか、それともダブルネームを採用したいかを自分で決めることができる。
では実際、ドイツで別姓やダブルネームを選択する夫婦はどれくらいいるのだろうか?
少し古いデータだが、ドイツ語協会が発表した2016年の174の市の登記所から集められた約2万件の結婚したカップルのデータは以下のとおりである。
・夫の姓を選択 73,8%
・妻の姓を選択 6.0%
・夫婦別姓 13,0%
・ダブルネーム 7,2%
また、ダブルネームを選択したのは88,5%が女性だというデータもあった。
私の周りのドイツ人カップルを見ても、夫の姓を名乗っている夫婦がほとんどで選択肢はあるものの、あまり使われていない様子。実際ドイツ人は夫婦の姓についてどう思っているのだろうか。
ドイツ人の友人に聞いてみたところ、離婚して今は独身の友人は「今度結婚しても絶対夫の姓を名乗るわ。一体感があるし、夫婦になったっていう実感があるじゃない」とのこと。一方でダブルネームを使っている友人は「苗字は私のアイデンティティだし、結婚したからといってそれを失うなんて考えられなかった」と言っていた。
日本人であっても、ドイツ人と結婚した場合は別姓もしくはダブルネームを選択できる。ダブルネームを選択した日本人の友人に選択した理由と、実際の生活で何か便利/不便なことはないか尋ねたら、以下のような回答をくれた。
<ダブルネームにした理由>
日本人のアイデンティティーを残したかった。でも、家族バラバラな苗字も一体感に欠けるため、中間をとった。今までの仕事の業績を結婚前と後で途切れさせたくなかった。
<便利なこと>
日本における戸籍の姓は変更しておらず、名前の変更手続きを全くしなくてよかった。
<不便なこと>
名前が長くなることと、夫が同じ名前にしてくれなかったと未練がましい。
彼女の夫のように、自分の苗字を名乗って欲しいと思うドイツ人男性は多いのかもしれない。
私自身はドイツ人の夫と結婚した際、特に深く考えることはなく夫の苗字を選択した。自分の旧姓にそれほど愛着もなかったし、夫の家族は義父が亡くなっており、義母はかなり前に離婚して自分の旧姓を使用、夫の妹は結婚して彼女の夫の姓を名乗っているので、家族みんなが違う苗字。夫から一人だけなのはなんだかさみしい、と言われ、まぁ、そういうことなら、という感じだった。
ちなみに我が家の10歳になる息子に「もしパパとママが違う苗字だったらどう思う?」と聞いてみたところ、「家族の中に二つ家族があるみたいで変じゃない?」とのこと。子供のことも考えて夫の姓を名乗っているカップルも多いのかもしれない。
例え使われることはなくても、国が夫婦の姓を決めるのではなく、夫婦に別姓やダブルネームといった選択肢があるのはいいことではないだろうか。(マ)