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パリ最新情報「マリアージュフレールと秋のお茶」 Posted on 2021/10/12 Design Stories
パリでは秋が深まり、朝晩は10℃前後と冷え込む日が続いている。
温かい飲み物が身に染みるこの季節、コーヒー派も紅茶派も、くつろぎタイムには「一杯のお茶」が欠かせなくなってきた。
パリとカフェが切っても切り離せない関係であるように、フランス人にはコーヒー派が圧倒的に多い。
それでは紅茶はどんな立ち位置かというと、いくぶん嗜好品に近いものがある。それだけにシンプルなストレートティーよりも、花びらや果皮で香りを加えたフレーバーティーの方が人気が高いようだ。
フランス、フレーバーティー、といって真っ先に思い浮かぶのが、1854年創業の老舗紅茶ブランド「マリアージュフレール」である。
品格と遊び心を兼ね揃えたマリアージュフレール、今ではなんと500種類以上にもおよぶ数の紅茶をそろえているのだとか。
パリ本店、マレ地区にあるブティックに一歩足を踏み入れると、そこは別空間。
まるで邸宅美術館を訪れた時のように気分が上がり、クルクルと店内を360度見渡してしまう。昔ながらの天秤で量り売りをしているところや、味わい深い什器など、紅茶好きでなくてもグッとくるものがある。
ありとあらゆるフレーバーを用意しているマリアージュフレールだが、そんな中でも秋にぴったりな香り高い紅茶があるという。
パリ本店でおすすめの「秋のブレンド」を伺うことができたので、ここでいくつかご紹介したい。
まずは、「Rouge d’Automne(秋の赤)」。
ルイボスティーをベースに、栗の小片、バニラ、シナモンがブレンドされたカフェインレスのブレンドティーである。
マリアージュフレールの冬季限定スイーツ、マロングラッセにちなんだお茶で、その完璧な
栗の香りは心に深く入り込む。
鮮やかなオレンジ色の見た目は、秋の夕暮れや紅葉のようで、お茶とは思えないほど綺麗。
マロングラッセはもちろん、モンブランや梨のタルトといった秋の味覚とも相性が良い。
ちなみにフランス人にとって、この香りはクリスマス菓子の「パンデピス(pain d’epice=シナモン、ナツメグなどが入った甘いパン)」を思い起こさせるそうだ。
夏のバカンスが終わってしまったけど次はノエルがある、と彼らが秘かに楽しみにしているように、この甘いフレーバーはささくれだった心を癒してくれる。
続いて「Pleine Lune(満月)」。
紅茶がベースで、アーモンドとシナモンのブレンドが「月と夢」を表現しているという。
9月には日本でもフランスでも見事な中秋の名月を見ることができたが、このPleine Luneもどこか満月を思わせるような、ロマンチックな香りがする。
コンセプトも香りの良さも、もはや香水かと思うほどポエミーでフランスらしい。
マルコポーロに次いでパリ本店の人気No.2というPleine Lune、今回のセレクトのなかでは一番ふくよかな口当たり。
こちらはスイーツと一緒に、というよりは寝る前のリラックスタイムに良いかもしれない。
お気に入りの本やNetflixのお供に、物思いにふける秋の夜長に。アルコールやコーヒーとはまた違った趣を楽しむことができる。
最後に、この秋数量限定発売となった「Automne blanc(白秋)」。
ホワイトティーをベースに、ライチ、ザクロ、マルメロ(西洋かりん)がブレンドされたフレーバーティーである。
すっきりとフルーティーなその味と香りに、これは春夏向きなのでは?と一瞬感じるが、実はザクロは今が旬。古くから「女性の果実」と呼ばれてきたフルーツで、フランスではスーパーフードとして女性に大人気なのである。
とにかくライトで飲みやすく、心身がリフレッシュするので、仕事や家事の合間に最適な一杯となりそうだ。
ほかにも「Automne blue」「Automne rose」があり、Automne blancと並んでマリアージュフレールの秋の顔となっている。
そしてマリアージュフレールはお持ち帰りのサービスも開始。
紙コップ、ストロー、蓋は全て100%リサイクル資材からできていて、環境にも配慮している。パリ本店ではサロン・ド・テに入らず注文することができるので、時間がない人にとってはとても嬉しいシステムが登場した。
紅茶といえばイギリスのイメージが強いが、フランスの紅茶もなかなか素晴らしい。
香り豊かなところと、ブレンドのコンセプトが奥深いところ、この二つが本当にフランスらしく、マリアージュフレールはその代表とも言える。
今回、秋にぴったりのフレーバーティーを熱情込めて紹介してもらい、ますますファンになってしまった。(ル)