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パリ最新情報「仏専門家が訴える、コロナ拡大阻止に役立つ光り」 Posted on 2020/03/05 Design Stories
パリDS編集部は連日連夜、フランスのテレビ番組、新聞、雑誌などから最新のコロナ情報を集めてきたが、やはり「明るい情報」が欲しい、と願わない日はない。仏保健相のオリビエ・ヴェラン大臣が先頭に立って、国民の不安払拭、ならびに感染予防方法について説明を繰り返しているが、ペストの時代からフランスではこの手の研究家が多いことでも知られており、彼らの意見はただ不安をあおる情報とは若干異なっているように思える。情報をまとめていくと、彼らが口をそろえて訴えていることが一つであることがわかってきた。この一つを守ることが、誰にでも出来る「新型コロナから身を守る方法」となりそうだ。
とある専門家が言った。
「新型コロナウイルスは呼吸器系の感染症であり、それには必ずピークがある。フランスはそのピークにまだ達していないが、今のところ感染者の増え方は想定内を推移している。ピークの時期は温度や湿度によって変わってくるので一概には言えないが、おそらく3ヶ月以内には終息する可能性がある」
では、それまで人々はどうすればいいのか?
ーそれは毎日の”手洗い”しかない。
こんなに世界を揺るがせているコロナウイルスの唯一の予防法が「手洗い」?
ーアルコールジェルの売り切れが続いているが、アルコールジェルではなくても手洗いで十分だ。1時間に1回、石鹸で手を洗える状況であればアルコールジェルは必要ない。手が洗えない状況である場合、アルコールジェルが活躍すると考えてもらいたい。
なるほど、普段、手を洗わないフランス人でさえ、カフェ内やメトロの駅周辺でさっとアルコールジェルを出している姿を見かけるようになった。これは在仏20年の筆者にとってとっても珍しい光景だ。
専門家は続けた。
「まず、はっきり言えることは、コロナウイルスの主な感染源は目と手になる。口よりも、目と手に集中してほしい。何より、この手洗いを定着させることが、ウイルスからも身を守る最大の防御となります」
たしかに、そういえば、毎年この時期、フランスでは子供たちの間でガストロ(感染症胃腸炎)が流行るが、今年はあまり聞こえてこない。この手洗いが学校でも重要視されている証拠であろう。たかが手洗い、されど手洗い。である。
昨日の仏保健相が言った言葉で強く印象に残っていることがある。
『国民の60%がマスクをつければ感染を防げるかもしれないが、それ以下であれば意味がない』
つまりこれは、マスクを着ける習慣のない欧米ではあまり有効とは言えない、ということであり、逆を言えば常日頃からマスクをし続けている日本には有効、ということなのだ。これは光りがある。
さらに、誰かが、『温かくなればウイルスは死ぬ、夏前には流行は終わっている』と唱えているが、もしかするとそれは違っているかもしれない。今日、シンガポールで感染者が100人を越えた。夏にあたる南半球でも感染者が出ている。
昨日、ウイルス学者は、
『ウイルスが死滅する温度(ウイルスが外気温、室温で56℃に晒された状態)は56℃である』
と述べている。56℃までウイルスが生きることが出来るということは年頭に置いておくべきかもしれない。夏も用心する必要がある。
おさらいとして、専門家からの言葉をもう一度、ここに張り付けておきたい。
『コロナウイルスは空気感染ではなく飛沫感染であり、15分間、1m以内の距離で過ごすと感染するだろう。主な感染源は目と手と考えられる。(手や物に付着した菌は2、3時間残る)だから握手は避けたい。人間は1時間に約60回、無意識に顔を触っている。
我々に出来る大事なことは、
・こまめに手を洗うこと
・ハンカチがない場合、腕の内側で咳やくしゃみを止めること
・ティッシュは一回使ったら捨てる(フランス人はティッシュを使い回す人が多いため)
・ビズや握手の挨拶は避け、肘の角と角をぶつけ合う挨拶、足(靴の側部)と足(靴の側部)をぶつけるなどの挨拶を推奨する
、である。
※フランス人の慣習にてらした発言であることをご理解ください。