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パリ最新情報「ルーブル美術館、第一金曜日の夜を無料で開放する『ノクチュルヌ』が復活」 Posted on 2023/03/25 Design Stories
世界最大級の美術館で、名作コレクションの宝庫であるルーブル美術館。
このルーブル美術館で名物となっていた「ノクチュルヌ(nocturne)」が、4月7日より復活することが決まった。
ノクチュルヌとは通称なのだが、主な内容は、毎月第一金曜日の夜18時〜21時45分までを入場無料として一般開放するもの。
夜間の無料開放は、パンデミック以前は恒例のイベントだった。
しかし多くの美術館はコロナ規制をきっかけとして無料イベントを次々に閉鎖、ルーブル美術館もそれに続いていた。
フランスでは最初のロックダウンから丸三年が過ぎた。
苦境に立たされていた美術館も最近では息を吹き返し、コロナ以前か、それ以上の盛り上がりを見せている。
フランスの美術館は国立を中心として、毎月第一日曜日に無料で入場することができる。
これは「もっと文化に触れてほしい」と、フランス文科相の計らいで2000年から始まったイベントだった。
ただルーブル美術館のノクチュルヌは第一日曜日とは別の企画で、他にはない独自のものとなっている。
夜の美術館は昼間よりも雰囲気がある。
人の出入りも減るので、作品をゆっくりと鑑賞できるのが特徴だ。
50万点以上の作品を所蔵するルーブル美術館は、とても一晩では回りきれる広さではないが、夜のモナリザ、ミロのヴィーナス、サモトラケのニケといった「人類の傑作」を、ノクチュルヌめがけて訪れるのもムードがあって良い。
ルーブル美術館はその昔、パリの宮殿だった。
そのため夜は周辺の建物とのコントラストがとても綺麗で、晴天であれば、背景に月を伴っていることもある。
現在はパリ市全体が節電中なので、昨年からはルーブル美術館も消灯時間を午前1時から23時に早めた。
それでも電気代の高騰はルーブル美術館にも打撃を与えているらしく、2022年の請求額が420万ユーロ(約5億8800万円)だったところを、2023年には1430万ユーロにまで達してしまうという。
そのため館内の暖房も、冬場は21度から19度に設定し、恒久的な節電対策が引き続き取られている。
ルーブル美術館側としては当初、「暗くて寒い美術館に観光客ががっかりしないかどうか、警備員たちが体長を崩したりしないか」と心配していたようだが、幸い観光客からのクレームはなく、不満を漏らす警備員も誰一人としていないそうだ。
そんなルーブル美術館が打ち出す、太っ腹のノクチュルヌは4月7日(金)18時〜から始まる。
今後はずっと毎月第一金曜日が無料になるが、夏季の7月と8月だけは除外となる。
なお誰でもスムーズに入れるという訳ではなく、公式HPからの事前予約が強く推奨されている。(他の美術館の無料デーにおいても、席の予約は必要)
ということで今春からは、パリの夜間美術館が盛り上がることになりそうだ。(る)