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欧州最新情報「OMG! 欧州で起こっている史上最大級のロストバゲージに遭う」 Posted on 2022/07/15 Design Stories
6月末から7月にかけ、フランス、パリでは空港職員のストが行われた。去る7月1日、シャルル・ド・ゴール空港はカオスと化し、おまけにエールフランス航空の自動チェックイン機は故障。普段ならネットでチェックインをし、荷物のみ並んでカウンターに預ければ良いところ、チェックインさえできない乗客が数少ない職員カウンターに長蛇の列を作っていた。筆者もその列の中の1人だった。
ストだとはわかっていたので出発時間の3時間半前には空港に到着。しかし、全てのチェックが終わり、出発ゲートに着くと、腰を下ろす間もなく搭乗時間となった。空港到着から中に入るまで約3時間かかったことになる。
出発時間になると機長のアナウンスが流れ、ストの影響で出発の飛行機が混雑しているため1時間半遅れると発表された。結局、出発時間から2時間以上遅れての離陸となった。
13時間のフライトを終え、無事到着。コロナ関係のチェックのことで頭がいっぱいだったが、そちらは拍子抜けするほどスムーズだった。ほっと安心して荷物受け取り場に到着した筆者。そこで待ち受けていたのがロストバゲージだった。
荷物ゲートにたどり着くと、空港職員が持ったプラカードに自分の名前を発見してしまう。
係の人に近づき尋ねると、係の人はA4用紙5枚分くらいある大量のロストバゲージリスト(約200人分)を捲り始めた。そして、リストの中から、自分の名前を見つけることとなった。
だけど、まだ、その時は状況を把握しきれておらず、言われるがまま荷物遅延の手続きをし、迎えにきてくれていた両親と、ほぼ手ぶらで3年ぶりの再会をした。これまでにも一度、ロストバゲージに遭い、でもすぐに連絡が入り、2日後には手元に届いたという経験がある。直行便だから失くなるはずはないし、それほど心配をしていなかった。
ところが、翌日も翌々日も、待てど暮らせど、空港から荷物の知らせが入らない。その代わり、エールフランスのディレクターからの長い謝罪メールが一斉送信されてきた。どうやら、届いていないのは筆者がのった飛行機の荷物だけではないらしい。
フランスの友人によると、同日、1500個以上の荷物が空港に取り残されたと報道されている、というではないか。ストの影響で5本に1本の飛行機がキャンセルとなったらしく、航空会社は荷物より飛び立つことを優先したようだ。シャルル・ド・ゴール空港には十分な職員がおらず、飽和状態らしい。なんとなく、この状況が普通ではない、長期戦になる、ということを自覚した瞬間だった。
その2日後、恐る恐る、フランスのネットニュースを覗いてみると、パリのシャルル・ド・ゴール空港には、なんと、2万個以上の荷物が取り残されていて、そのうち1万7千個はエールフランスの乗客のもの。このような事態は前例がない、というではないか・・・。しかも、無惨な状態で積み重ねられている・・・。怒りより、力が抜ける衝撃的な映像だった。6月末以降、パリから世界中に旅立った人の荷物が、シャルル・ド・ゴール空港に留まっていて、それはいまも増え続けているという、耳を塞ぎたくなるニュースだったのだ。
エールフランスのサイトには遅延荷物の問い合わせはオンラインフォームのみでの対応と書かれており、電話で問い合わせることはできない。Twitterから問い合わせをしてみたところ、返事はきたが、ありきたりの謝罪と同じような回答で、それ以上の情報は何も得られない。7月2日に日本に到着してから現在10日以上が経過したが、エールフランスからは一度も電話はなく、自ら荷物検索サイトにアクセスするか、空港の荷物サービスに連絡する事しかできない。彼らによると、まだ、今現在も1万個以上の荷物がシャルル・ド・ゴール空港に残っているという。ときどき数個ずつ前触れなく遅延荷物が到着するらしいが、筆者が乗った便の荷物の大半はまだ届いていないそうだ。フランスのニュースでは、エールフランスのロストバゲージが今週中に全て発送されると言っていたらしい。信じて良いのだろうか?
ちなみに、ロンドンでも、ドイツでも、スイスでも、欧州全体で同じような大量のロストバゲージが頻発している。
欧州では、この夏、コロナ禍前以上の観光客の移動が見込まれている。コロナ禍で空港職員が大量に解雇され、職員が不十分なままその大量の予約を受けた結果、システムはパンクした。乗客に大きな皺寄せが来たというわけだ。
お願いだから、「失くしたわけではなく、ただ、手配が追いつかないだけ」であってほしい。
日本に到着して数日は、早く届けて!とイライラしていたが、この状況を理解した今、日本にこうして居られることはラッキーで、あと1ヶ月となった滞在中に荷物を受け取れたら奇跡!だとさえ思いはじめている。
ここで筆者が言えることは、欧州から飛行機に乗る方々、今は大切な物、薬などを預け荷物に絶対に入れないでください!だ。また、最悪ロストバゲージに遭ってしまったら、エアラインによってそれぞれ補償があるので、しっかり問い合わせて。とも。つづく(み)
シャルル・ド・ゴール空港に取り残された大量の荷物(泣)