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欧州最新情報「ウクライナに残る人々の『ライフライン』最新情報まとめ」 Posted on 2022/03/09 Design Stories
2月24日に始まった露軍によるウクライナ侵攻から2週間が経とうとしている。
現地ウクライナに残る人々の疲労は極限状態だ。
国外に避難する人の数が増える一方、断固として母国に残る人もいる。
フランスのジャーナリストが現地から報じた内容によると、残っている人の多くが、身体の自由が利かない高齢者、彼らに寄り添う家族、成人男性で招集された人、18歳で戦わなければいけない息子を放っておけないという母親たち、生まれ育った土地を離れたくない人たちである、とした。
もちろん逃げたくても逃げられない人もいる。
首都キーウ(キエフはロシア語読み)からポーランド国境までは500㎞もあり、道路は大渋滞でガソリンの補給もままならない。
その中で難民として無事に国外脱出した人は「成功者」として見られている、との報道もあった。
ウクライナの首都キーウでは、物資不足が深刻だという。
いまのところシャワーやインターネットは使えているというが、問題は食料だ。
外出禁止令が解けた午前中にはスーパーの前に長蛇の列ができてしまい、2時間かかってやっとパンやクラッカー、缶詰などが手に入る。
肉などの生鮮食品はかろうじてあるものの、値段は10倍以上に跳ねあがり、牛乳も満足に買えない。
毎日同じものを食べているのでストレスがかなり溜まっている、とのことだ。
医薬品も同じで、高血圧や向精神薬などの常備薬が切れてしまうことが怖いと語る人もいる。
一方、キーウのレストランでは貴重な肉を使ったケータリングサービスを行っているところもある。
しかし対象となる客層はウクライナの軍人、警察のみだ。
店主は、命がけで前線に出る彼らに栄養をつけてもらいたいとの思いで始めた。
物資がある限り続けていくという。
また、残された人々はまったく安眠できていない。
空襲警報が3、4時間おきに発令され、サイレンが鳴ったら防空壕に身を隠す、といったサイクルを繰り返している。
ロシア軍は先日、ウクライナの4都市で人道回廊を設定したが、市民のあいだでは疑いの目が向けられている。
逃げても逆に被害を受けることが想像されるため、都市部に留まっていたい、と思う人が多いようだ。
解放された地下鉄の駅、地下駐車場、自宅の階下など、それぞれの防空壕に家族単位で身を寄せ合う。
しかしマンションの上層に住む人たちは数時間おきに階段の上り下りをしなければならず、高齢の人にとっては苦痛が伴う。
そのため、空襲警報が鳴ったらできるだけ窓の近くから離れ、自宅のバスルームで待機する。
息をひそめながらラジオを聞き、状況の深刻さによって防空壕に向かうといった一種のルーティーンを作る家族もあった。
個人の防空壕がある人は、缶詰、水、薬、パソコン、書類、貴重品などを置いたままにしているという。
ウクライナに残された人々の深刻な問題は食料不足と寝不足だ。
彼らは今、以前のような日常を取り戻すために戦っている。(お)