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パリ最新情報「図書館の“壁”をなくしたい!セーヌ川にできた青空図書館」 Posted on 2023/07/22 Design Stories  

 
セーヌ川の岸辺で、青空の下で、絵本を手に取り、子どもたちに読み聞かせる。
そんなあたたかい光景が、夏のパリで広がっている。
 

パリ最新情報「図書館の“壁”をなくしたい!セーヌ川にできた青空図書館」



 
これは、パリ市と、市内にあるいくつかの図書館が協力して実現したイベントだ。
「Bibliothèques hors les murs(壁の外の図書館)」と呼ばれ、今年で2年目を数える。
その目的は「図書館が遠いから、あるいは敷居が高すぎるからという理由で、普段は図書館に足を運ばない人々にも読書を楽しんでもらいたい」というもの。
参加は無料で、パリ市民も旅行者も誰でもウェルカム。
一切の壁を取り払ったいわゆる「青空図書館」を、セーヌ河岸に7月11日〜8月24日までのあいだ設置する。
 

パリ最新情報「図書館の“壁”をなくしたい!セーヌ川にできた青空図書館」

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セーヌ河岸の青空図書館は、サン=ルイ島近く、ルイ・フィリップ橋のふもとに設置された。
毎年開催されるパリ・プラージュに合わせた形となる。
パリ・プラージュとは、バカンスに行けないパリ市民に少しでも避暑地気分を味わってもらおうと、セーヌ川沿いに各飲食店・ヤシの木・ビーチパラソルなどが現れるビックイベントだ。
好評につき今年で21年目となる。
 

パリ最新情報「図書館の“壁”をなくしたい!セーヌ川にできた青空図書館」



 
パリ・プラージュのほかには、バサン・ド・ラ・ヴィレットの図書館エリア(19区)、スクワール・アジャクシオ(7区)などでも青空図書館が開催されている。
参加する図書館と開催地は合計で50件近くにもなり、木陰で、芝生の上で、水辺で、子どもたちと本を読みながら夏休みを過ごすことができる。
※開催場所、時間はパリ市公式HP参照。

青空図書館には、現地の図書館員がBOXに本を詰め込んで駆けつけてくれる。
子どもにも保護者にもありがたいイベントだが、実はこの取り組みは、図書館員たちにも大きな影響を与えているのだという。
 

パリ最新情報「図書館の“壁”をなくしたい!セーヌ川にできた青空図書館」



 
館員たちにとってこの壁のない図書館は、「図書館の役割、アウトリーチ活動の重要性について考え始めるきっかけとなった」そうだ。
また外国人であったり、図書館の利用経験が少なかったりする子どもたちや保護者たちとの壁も取り払うことができた。
直接の交流の場ができて楽しいし、来年以降も参加していきたい。
と、そう答える図書館員は、全体の8割近くにも上っているという。
 

パリ最新情報「図書館の“壁”をなくしたい!セーヌ川にできた青空図書館」

 
こうして、フレンドリーな雰囲気で始まっているパリの青空図書館。
置かれている本は絵本であることがほとんどだが、大人向けに仏情報誌の無料提供も行われていた。
ちなみにセーヌ河岸での開催は毎週火曜日と木曜日、午前中10時半から12時半までとなっている(8月24日まで)。(内)
 

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