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パリ最新情報「南仏ヴァレンソール高原のラベンダー、今が満開に!」 Posted on 2023/07/01 Design Stories  

 
南仏、ヴァレンソール高原でラベンダーが満開になったという便りがあった。
アルプ・ド・オート・プロヴァンス県に位置するヴァレンソール高原(Plateau de Valensole)は、世界でも有数のラベンダー畑が見られる場所として知られている。
絵画のように美しい風景が広がり、南仏らしい小さな村が点在するこの地域は、ラベンダーを使用したソープ・精油などの工場があることでも有名だ。
 

パリ最新情報「南仏ヴァレンソール高原のラベンダー、今が満開に!」



 
地元ラベンダー農家によると、「畑にいると素晴らしい香りが漂ってくる」とのこと。
もともとラベンダーは乾燥した気候に強いとされているが、それでも昨年の干ばつでは他の農業と同じように大きな被害を受けてしまったという。
しかし今年は雨が適度に降ったため「100%まではいかなくても、ラベンダーがとても美しく咲いている」ということだ。

今年の収穫は7月中旬に始まり、末ごろまで行われるそうだ。現地ではラベンダー祭りも毎年行われており、農家たちのラベンダーにかける情熱を直に見ることができる。
※今年は7月16日(日)開催。
 

パリ最新情報「南仏ヴァレンソール高原のラベンダー、今が満開に!」

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しかし昨年の干ばつとウクライナ危機は、仏ラベンダー精油の製造に大きな打撃をもたらしてしまった。
干ばつにより原料が不足しているのにオイルの価格も高騰してしまった、というダブルパンチを生産者は被ってしまったのだ。
そこで仏農水省は6月16日、仏ラベンダー業界の主要関係者と会合を開き、異例の援助制度を開始することを決めた。
支援額は総額900万ユーロ(約1億4000万円)。
ラベンダー農家、エッセンシャルオイル製造者らに向けて今年の9月から支援が開始される。
 



パリ最新情報「南仏ヴァレンソール高原のラベンダー、今が満開に!」

 
エッセンシャルオイルは、フランスでも需要が高い。
特にラベンダーの香りは人気・売り上げともにナンバーワンだそうで、BIOスーパーや薬局でも必ずと言って良いほど並んでいる。
風邪を引き鼻づまりで寝つきが悪い、と相談した時にはフランスの薬剤師からラベンダーのエッセンシャルオイルを処方されたこともあった。
 



パリ最新情報「南仏ヴァレンソール高原のラベンダー、今が満開に!」

 
このように、ラベンダーはフランスでとても愛されている。
ただ開花時期が短いため、パリの花屋ではドライフラワーとして置かれていることが多かった。
(新鮮なラベンダーを置くところもあったがレアだった。)
他、石けん、サシェ、化粧品、フレグランス、アイス、ケーキなど、日常でもたくさんのラベンダー商品を目にする。

なお今回、満開のラベンダーを報道した仏TV番組も「ラベンダーは私たちの遺産の一部です」と述べている。
中世にプロヴァンスで登場したラベンダー栽培は、19世紀になって最盛期を迎えたという。
グラースの香水工場ではその昔、上質なラベンダーの精油を使って万能薬を作っていたこともあるそうだ。
今では伝統的なラベンダーの蒸留所も少なくなり機械化が進んでいるというが、南仏のラベンダー栽培はフランスが最も大切にする農業の一つだと言える。(オ)
 

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