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パリ最新情報「シャンゼリゼ通りに新たなランドマーク誕生へ。巨大トランクの正体とは?」 Posted on 2024/11/28 Design Stories
パリのシャンゼリゼ大通りに「巨大トランク」が出現した際には、行き交う人の誰もが驚いたものだ。
2023年の秋ごろから姿を現したそのトランクには、よく知るロゴマークがあしらわれている。しかも場所は、ルイ・ヴィトン本店の隣という好立地。これが同ブランドの施設であることは、誰の目にも明らかだった。
「完成は2026年、敷地面積は約6,000㎡で、ルイ・ヴィトンの名を冠した史上初のホテルになる」
ブランドのメガ・プロジェクトにゴーサインが出たのは、2023年9月のことだった。何しろこの場所には、19世紀より存在する歴史的な建築物がある。直近ではHSBC銀行がフランス本社を構え、約20年ほどオフィスとして使用していた。
そんなランドマークが、これから2年のうちにまったく新しい姿に生まれ変わるというのだ。
ルイ・ヴィトンを擁するLVMHグループは、日本の東京や大阪、フランスのパリやサントロペなどで、すでにいくつかのカフェ・レストランを展開している。
しかし、LVMHがパリをホテルの開業地として選んだ背景には、「ブランドと発祥国フランスの関係をより強固なものにする」目的があったという。
ホテルの詳細はまだ明らかにされていないものの、その壮観な佇まいからは、ガストロノミー、ミュージアム、ブティック、そしてホテルを組み合わせた、ディオール本店の「30 モンテーニュ」が思い出される。
パリ市の商業開発委員会、およびシャンゼリゼ委員会は、同プロジェクトを「野心的で非常に革新的」と評価した。
もちろん改装工事中は、建物は巨大なトランクとルイ・ヴィトンのモノグラムで覆われているから、私たちはファサードの前をただ通り過ぎるしかない。
しかし、少しずつ変わりゆくシャンゼリゼ大通りの風景を眺めていると、建設中のホテルが新たな景観づくりに一役買うのではないか、という新しい期待が湧いてくる。
変わりゆくシャンゼリゼ大通り、とは、ここ一年足らずで行われた「改造計画」のことを指す。
たとえばシャンゼリゼ大通りでは、2023年末よりカフェ・レストランのテラス席が、グリーンとダークレッドのシックな色で統一されるようになった。目的は景観を保つためだというが、大通りではそれ以外にも植林や車線の削減といった、大胆かつ環境に配慮したプロジェクトがすすめられている。
※シャンゼリゼ大通りのテラス席
さらに最近では、シャンゼリゼ大通りで開催される各イベントが盛況だという。これらのイベントは、大通りを歩行者天国にした上で、地元住民や観光客を対象に実施されているものだ。
実際、2023年にはディクテ(フランス語の聞き取り大会)が行われ、2024年には大通りが巨大ピクニック会場と化し、多くの人々で賑わった。そして今週末の12月1日には、韓国の人気ドラマ『イカゲーム』にインスパイアされた特別イベントが行われることになっている。
こうして変貌を遂げつつあるシャンゼリゼ大通り。その新しい姿に、ルイ・ヴィトンのホテルは自然と馴染むのだろう。
しばらくはアルミニウムのメタリックな光景が目を引くが、それにも慣れる頃にはホテルが完成しているはずだ。新たなランドマークとして、大通りに溶け込む日もそう遠くはない。(チ)