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パリ最新情報「シャンゼリゼのラデュレ、一時閉店のためアンティーク家具を異例のオークションへ」 Posted on 2023/02/11 Design Stories  

 
マカロンを初めとしたスイーツを提供するラデュレ・シャンゼリゼ店が、2月8日(水)をもって休業することになった。
とはいってもこれは営業不振による休業ではなく、改装を目的とした一時閉店である。
今後は「25年の歴史に新たな1ページを刻む」として、大規模なリニューアル工事が始まるということだ。
 

パリ最新情報「シャンゼリゼのラデュレ、一時閉店のためアンティーク家具を異例のオークションへ」



 
パリにいくつかあるラデュレのサロン・ド・テには、美味しいスイーツもさることながら、芸術品とも呼べる家具・装飾がたくさん並んでいる。
中でもシャンゼリゼ店は店舗面積がいちばん広く、その内装はフランス第二帝政時代の高級感を表した、非常にクラシックなものだった。
そんなラデュレ・シャンゼリゼ店は閉店翌日の2月9日、店内家具・装飾の合計105点をオークションに出品し、“異例の試みを行った”として現地のニュースに取り上げられた。
 

パリ最新情報「シャンゼリゼのラデュレ、一時閉店のためアンティーク家具を異例のオークションへ」

 
ラデュレ・シャンゼリゼ店がオープンしたのは1997年のことだった。
実は2011年10月に火災事故に見舞われていたのだが、1年後には仏建築家のジャック・ガルシア氏によって内装デザインが一新され、「ベル・エポック時代のサロン・ド・テ」として生まれ変わっていた。
内装は繊細かつ絢爛豪華。
シャンデリア、ブロンズの燭台、大理石のテーブルなどを置きながら、パリの古き良きラウンジ・図書室・チョコレート工房等をサロンに再現したという。

今回、異例ともいえるオークションが行われた背景には、常連のお客様がこうした家具を購入できるように、というラデュレの特別な計らいがある。
実際には2月9日(木)の午前11時から午後6時まで行われ、現地店舗で実物を映し出しながら、インターネットでライブオークションが開催された形となった。
 

パリ最新情報「シャンゼリゼのラデュレ、一時閉店のためアンティーク家具を異例のオークションへ」

※実際のオークション画面。カーテンも出品された

地球カレッジ



 
合計105点のラインナップにはカーテン、ソファ、テーブルセット、シャンデリアなどが並んでいた。
中には店内に飾られていた絵画、大理石のミニ・バーカウンターセット、ナプキンセット(未使用)などレアな物もあり、まるで博物館がオークションを開催したというような内容だった。
 

パリ最新情報「シャンゼリゼのラデュレ、一時閉店のためアンティーク家具を異例のオークションへ」

 
しかし価格帯は高価で、安いもので200ユーロ〜、一番高価なものでは、19世紀の彫刻家ジャン・バティスト・クレジンガー作のブロンズ像「ラ・サフォ」(4,000ユーロ〜)があった。
ラデュレによれば、このオークションで「10万ユーロ前後の収入が得られる予定(約1400万円)」だといい、うち一部は改装資金に充てられ、残りは寄付されることになっている。
 



パリ最新情報「シャンゼリゼのラデュレ、一時閉店のためアンティーク家具を異例のオークションへ」

 
なおリニューアルオープン日時は未定で、今年いっぱいは改装工事のため閉店が予定されている。
ただテイクアウトのショップとテラス席のみ今夏までは営業するというので、今年パリを訪れる予定のある人は少し注意したい。

このように物を大事に扱うフランス。
使い古した物に第二の人生を歩ませる方法には、蚤の市、リサイクル、アップサイクルなどさまざまなジャンルがあるが、実は中古オークションもフランスで頻繁に行われるメソッドの一つとなっている。
集まった資金は大体が寄付され、生活に苦しむ身近な人々からノートルダム寺院の再建費用といった時事的なものまで、その用途は多岐にわたる。(こ)
 

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