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パリ最新情報「ボンマルシェ食品館、100周年を迎える!食を愛する人々のために用意された、美食の数々」 Posted on 2023/10/05 Design Stories
パリの中心に位置するル・ボンマルシェの食品館、ラ・グランド・エピスリー・パリが今年で100周年を迎えた。
この節目を記念して、館内では限定品やコラボ食品など、フランスの美食を紹介するさまざまなプログラムが用意されている。
期間は9月29日〜10月29日までで、併設のレストラン「La Table」では特別メニューも提供されるということだ。
食品館に入るとまず、バースデーケーキをかたどった特別なワゴンに迎えられる。
こちらでは100周年を記念し、フランスの老舗食品ブランドとコラボレーションされた40種類のアイテムが並ぶ。
中でも、モンブランで有名な「アンジェリーナ」からは特大サイズのホットチョコレート(瓶詰め)が、老舗紅茶店の「マリアージュ・フレール」からはブルーの紅茶が、そしてバターで有名な「ボルディエ」からは8種のスパイス・バターが期間限定で登場している。
いずれも、食品館100周年のために特別に作られたという。
※100周年を記念したオリジナルのエコバッグや、絵葉書もあった。
館内では至るところにロウソクが置かれ、お祝いムード一色だ。
また1階(フランス式0階)には食材コーナーやパン屋、惣菜店などがあるのだが、こちらでもスペシャルな食材を発見することができた。
たとえば食品館内のパン屋では、建物のモザイク画に描かれた“蓮の花”をかたどった、大きなパンが登場している。
そして入り口近くのパティスリーでは、100歳を祝うバースデーケーキも用意されていた。
※「サントノーレ」(カラメルを塗ったミニシューを飾り付けたフランスの伝統菓子)
にオマージュを捧げた、3段のバースデーケーキ。
他、4種の鶏肉を使ったパテ・アン・クルート、キャビアの詰め合わせなど、特別アイテムにはフランスのお祝い事で出されるような、リュクスな食材が揃っていた。
※地下のワイン売り場では100年前のヴィンテージワインも。
このようにル・ボンマルシェの食品館は、フランスの美食を100年にわたり発信し続けてきたわけだが、1923年の開店当時はほんの小さな食材コーナーだったという。
※ル・ボンマルシェは食材を扱う初のデパートでもあった。
しかし大戦後にはイタリアやオランダなどの近隣国から選りすぐった特産品を販売し、新たなマーケットを開拓。
1979年10月には「ラ・グランド・エピスリー・パリ(La Grande Épicerie de Paris )」が正式な店名となった。
なお現在、食品館に並ぶ生鮮食品、惣菜、パン、パティスリーはすべて、地下にある広大なキッチンで作られている。
その広さは1300平方メートルにも及ぶそうで、パン職人、パティシエ、シェフ、そして近くにある料理学校の実習生など、約80人の職人たちが朝早くから夜遅くまで働いているのだという。
つまりル・ボンマルシェの食品館では、工場で調理されたものを搬入しているのではなく、出来立ての食品が地下からそのまま運ばれてくるというわけだ。(地下1階には精肉場もあるとのこと)
ル・ボンマルシェの食品館は若い世代に職人技を伝えることにも熱心だといい、近隣の料理学校から実習生を招くのは「ノウハウを伝えたいから」なのだと、仏紙ル・パリジャンの報道で明らかになった。
ル・ボン・マルシェが「食を愛する人々のために空間全体を捧げる」という大胆な決断を下したのが1923年。
それから100年経った今、ラ・グランド・エピスリー・パリは世界中から美食家が集まる場所となった。(オ)