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パリ最新情報「19世紀を一世風靡した高級コスメメーカーが現代に蘇った。」 Posted on 2022/04/14 Design Stories
1895年にフランスで生まれた欧州初の高級コスメ・メーカーが、現代に蘇った。その名もクリティアKrytia。
ギリシャ神話好きなら、すぐわかるだろう。
太陽神アポロンに恋し続けたがゆえ、太陽に向かって咲き続ける花になったクリスティアがその名の由来。
クリティアは強い愛をいつもまでも胸に抱く女性の象徴だ。
しかし実際のストーリーは…、もともと愛し合っていた二人だったが、戯れに打ったキューピットの矢にアポロンが当たったがために、アポロンは他の女性を愛してしまい、クリスティアは悲しみにくれ外に座り込んで、アポロンを見続けるがうちに花に…というものだ。
感動を呼ぶ愛のストーリーは、当人の悲哀をよそに、いつもどこか切なく美しい。
ともあれクリティアは向日葵だ。夏の美しく元気な花であることからも、クリティアに前向きな愛が感じられる。
さて、この高級コスメ・メーカーは、1895年にマリー・バレンタン=ルブラン女史がバンドーム広場の、リッツホテル前に店舗を構えたことから始まる。
皮膚科医と化学者により研究され作られたクリームやパックは、瞬く間に一世を風靡。
フランス、欧州のみならず、アフリカ、アジアを含め世界40カ国にその名を轟かせただ。
スペインのユラリー姫、エジプトのダジャビダン女王、ロシア宮廷、そして中国の貴族階級を顧客にもっていた。
肌への効能のみならず、香水瓶のように美しいラリックなどのアーチスティックな容器も、女性たちを魅きつけたのだろう。
ファッション雑誌といえばボーグだった時代には、クリティアの広告は有名フォトグラファーたちに撮影されて、その雑誌の中でひときわ目を引いたとも言う。
またクリティアは世界初の美容専門院=エステティシャン養成学校も設立している。
そのためこのブランドは上流階級の人々に愛されただけではなく、低層階級の人々にも支持された。
と言うのは、女性の地位が今と比べものにならないくらい低かった当時、女性の手に職をつけ独立することができるようにと言う、弱い立場の女性への強い支援でもあったからだ。
ここを卒業し、プロのテステティシャンとしてその道で活躍した女性は、当時で200人を超え、50カ国が彼女たちの活躍の舞台となったと言う。
この伝説のコスメは、少しばかり眠りについていたが、その素晴らしさを再発見され現代に蘇った。
しかし19世紀のままではもちろんない。
現代女性の社会生活に合わせ、昨今の進んだ化学の応用とパリの薬剤師たちの研究で、より効果のあるコスメとして新しく生まれ変わった。
特筆すべきは、一日中状態の変わる肌のメタボリズム、肌と体内の自然のリズムに合わせた朝、夜、週末の3種のコスメになっていること。
例えば、朝は一番肌がリラックしており守られている良い状態なので、それを維持するためのものを。
夜は肌が疲れ、睡眠で肌が回復に向かうのを助けるための、栄養あるものを。
そして週末は時間をかけて、エステにいるように家でケアができるものを。
新しいクリティアは、この肌のリズムに寄り添ったケアを、時間の流れを意味するクロノと、手当を意味するソワンを掛け合わせて、クロノソワンと名付けた。
肌のターンオーバに合わせたこのケアを続けると、水分補給ができ透明感など肌の質感が変わるのがわかるそうだ。
誰よりも早くトライしてみるのもいいかもしれない。
日本への上陸も待ち遠しい。
(ア)