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パリ最新情報「日本の苔玉、“kokedama アート”としてパリに浸透」 Posted on 2023/11/12 Design Stories
ころんと丸い、日本の苔玉が、「kokedama アート」としてパリに浸透しつつある。
苔玉がフランスにやってきたのは、2010年代のことだった。
フランス語でもそのまま「kokedama」と発音されている。
そんな苔玉は、盆栽のような趣がありながらも気軽に取り入れられるとして、現在のフランスでますます多くのファンを獲得しているということだ。
これまでには『kokedama』と名の付いた本が出版されたり、インテリアデザインの展示会やコンセプト・ストアのウィンドウに苔玉が飾られてきた。
今ではフランス人経営の花屋にも登場しており、顧客を招いた「苔玉ワークショップ」も定期的に開催されている。
日本の伝統的な植物アートとしては、盆栽や生け花がフランスで知られている。
現代アートとの相性も良いそうで、特に生け花に関しては、よく知らないという人でもその芸術性に見入ってしまうフランス人が多い。
※パリの花屋さん、IKEBANART(イケバナート)
パリ10区、サン・マルタン運河のほとりには、そんな生け花と苔玉を主役とした花屋がある。
フランス人夫妻が経営する、「IKEBANART(イケバナート)」というお店だ。
2人は日本の芸術からインスピレーションを得たといい、ユジェニー(奥様)は池坊の師範でもあるそうだ。
一方、パートナーのグウェナエルは苔玉の専門。
お店に入れば、彼によるたくさんの苔玉作品を見ることができる。
首都パリではバルコニーのないアパルトマンも多いため、お気に入りの受け皿を使ってスタイリッシュに飾れる苔玉が重宝するということだ。
※苔玉で人気の苗木。
店内には生け花に使う剣山や、剪定ハサミもある。
なお、IKEBANART(イケバナート)は花屋でありながら、デザインスタジオであり、アートギャラリーでもあるという。
苔玉を作るレッスンも定期的に開催しており、生け花と同様、レッスンには多くのパリジェンヌが参加するそうだ。
苔玉はテーブルの上に置くだけでなく、吊るしの観葉植物としても美しい。
パリの花屋を訪れると、苔玉を使ったディスプレイ、空間の使い方がとても上手だと感じる。
IKEBANART(イケバナート)でも苔玉が星座のように配置されていて、ほかの花屋にはない独特な雰囲気が印象的だった。
日本の文化は衣食住、特に食を中心としてパリジャンの心を掴んできた。
今回の苔玉は、大都会パリに住む人たちにとって気軽に手に取れる、新しい植物アートとして受け入れられている。(内)