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パリ最新情報「ウクライナ侵攻開始より一年、フランス国民の反応、避難民たちの今」 Posted on 2023/02/25 Design Stories
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まってから、2月24日で1年となる。
ロシアのプーチン大統領は1年前のこの日、ウクライナ東部のロシア系住民を保護する「特別軍事作戦」として、ウクライナへの軍事侵攻を始めた。
これに対してウクライナ軍は、欧米側から供給された兵器を駆使しながら反撃を続けているが、1年経った今ではロシア対欧米との全面的な戦い、といった構図にもなってしまった。
当初より長期化が噂されていたこの軍事侵攻、陸続きの欧州ではエネルギー代の高騰や異常なまでのインフレと、影響は想像以上に甚大なものとなった。
毎日のように手にする食料品の値上がりからも、「今世界は戦争状態にある」という不安を拭い去ることができない。
フランスはこうした状況にあるためか、仏紙ル・パリジャンが行った独自の調査によると、フランス国民の89%という大きな数字が「戦争の経済的影響、第三次世界大戦、核兵器使用のリスク」に対する懸念を常に持ち合わせているということだ。
仏紙ル・パリジャンはこの結果を踏まえ、フランス人はこの戦争に慣れたわけでもなく、ニュース映像を見て無感覚になったわけでもない、と述べている。
Un an après l'invasion de l'Ukraine, Paris rend hommage au courage du peuple ukrainien et lui exprime sa solidarité #StandWithUkraine #CitiesWithUkraine pic.twitter.com/UqhTDdDTAH
— Paris (@Paris) February 23, 2023
一方で、パリ市にあるエッフェル塔は2月23日夜、ウクライナの国旗カラーである青と黄色にライトアップされた。※ライトアップは2月26日まで
パリ市長のアンヌ・イダルゴ氏も同日18時30分にトロカデロ広場に駆けつけ、在仏ウクライナ大使とともに、ウクライナ国民の勇気ある抵抗に対し敬意を表明している。
またマクロン大統領は2月24日朝、自身のツイッターにおいて、「フランスはあなた方の味方です。連帯、勝利、平和のために」とウクライナ語、フランス語、英語で掲載した。なおこの言葉は侵攻が開始した1年前と同じ内容である。
ロシアの侵攻開始からは800万人以上の人々がウクライナを離れたというが、この数は第二次世界大戦以降、ヨーロッパ大陸で最大の難民数だということだ。
なおフランス国内で暮らすウクライナ避難民は現在のところ約11万5000人。
うち8割は女性で、今でも約3万人のウクライナ避難民がフランス人の個人宅で受け入れられているという。
またフランスの学校に通うウクライナの子どもたちは約2万人、フランスで仕事を見つけた人はすでに1万5000人にも上ったと報道された。
しかし彼らの多くは「戦争が終わったらウクライナに戻りたい」と強く願っているそうで、居住場所を一時的なものにするか恒久的なものにするか、そして子どもの教育方針はどうするか、などといった方向性を決定できないでいる人が大勢いるという。
NATOにも大きな亀裂を生じさせ、甚大な国際問題に発展したロシアによる軍事侵攻。
しかしフランス人の10人中6人はウクライナの武力勝利より、和平的な交渉での戦争終結を望んでいるという結果も出ている。
ただ戦争の長期化により、当初は大型兵器の供与に慎重だった他の欧米諸国の態度も変化しつつあるというのが現状だ。
ウクライナ侵攻2年目に入り、今後は世界で武器の争奪戦にならないかどうか、今のフランスでは懸念が広がり始めている。(オ)