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パリ最新情報「日本の連日の感染者数報道への素朴な疑問」 Posted on 2020/08/10 Design Stories  

新型コロナが流行しはじめた頃から、日本のメディアではずっと検査陽性者数だけ発表し続けています。「今日の東京都の感染者数が、197人感染。200人を下回るのは27日以来となる」のごとき報道ですが、これは非常にわかりにくいし、他のデータとの比較がないので、現状、どういう状況が起こっているのか、わかりにくいし、何より正確ではありません。週末の検査が平日より少ないのは周知の事実ですが、このことをご存じない方には不適切なのに、メディアによっては、3日ぶりに感染者が200人を切りました、というような書き方をします。しかし、感染者が減っても、陽性率が高い場合もあります。一部の人や、こういう問題に疎いご年配のおじいちゃん、おばあちゃんには不親切な情報だと思われます。国民に対して、感染者数の増減だけで、一喜一憂をさせている現状のメディアの在り方にも疑問を感じてなりません。



フランスの場合ですと、今日の感染者数と同時に、退院した人の数、集中治療室の空きベッド数(これはとっても重要)、もしくは重傷者数、死者数、陽性率、実効再生産数などがトータルに発表されます。ロックダウン中は政府の高官、サロモン担当官が毎日夜の22時くらいでしょうか、このうちわけを事細かに説明し、また、パリに限らず、全国の地域による差なども説明しておりました。

不安な状況になると、必ず大臣が出てきて、注意するなど、政府の対応は非常に細やかでした。ロックダウン中の、3月、4月、5月はオリビエ・ヴェラン大臣が連日国民に説明をして、時には厳しく、時には優しく、これらの数字の意味を医学的な説明していたのです。ヴェラン大臣もサロモン担当官も元医師なので、よく理解が出来たのです。そして、重要な局面では首相や大統領が登場し、特にこの辺の理解をしにくい専門的な部分を、子供たちやご年配の方々にもわかりやすく、細かく説明をしていたのが印象的で、何より、安心感がありました。

パリ最新情報「日本の連日の感染者数報道への素朴な疑問」



パリ最新情報「日本の連日の感染者数報道への素朴な疑問」

日本の発表態勢がどのようなものか今一つよくわかりませんが、毎日、夕方くらいに(夜ではなく)、一日の感染者数が発表されていますが、(そもそもなんで夜じゃないのか、がわかりません。公務員の皆さんの仕事が終わる時間にあわせているからでしょうか? 夕方から翌朝までの数は翌日にカウントされているのかも、調べたのですが、わかりませんでした) 政府が出来あnいのであれば、各メディアが独自で出すことは可能です。フランスもフランスアンフォやBFMTVが独自でデータの開示を、もちろん、政府報道をもとにですが、出しております。日本のメディアもきちんと調べて、感染者数だけじゃなく、それ以外の情報も総合的に番組や記事で連日発表をし、全体像を示す義務があると思います。

感染者が増えても、死者がいなければ、弱毒化が進んでいることを物語るし、ベッド数がひっ迫すれば医療関係者の現状を国民が把握することが出来ます。とにかく感染者数の報道しかないのは不十分です。ダイアモンドプリンセス号の感染者数と死者数がいまだに別々に表示されたりしていますが、それよりも大事な様々な数字の開示が同時にないことの方が不思議でなりません。米軍兵士の感染者も、基地内は日本の治外法権が適用されているために、数には含めないということになるのでしょうが、そうなると、日本という国の中で実際何が起こっているかを完全に把握できなくなるばかりか、コロナの日本の実態が見えにくくなってしまう。米兵は基地の外にも出ますし、日本人も基地内に入りますから、そこには感染経路が存在します。少なくも日本という同じ国土の中にあるウイルスはその国の中にいるウイルスの数にカウントされるべきです。ウイルスに国籍はないのですから。沖縄の基地の周辺で感染拡大していますが、基地からの感染経路がおえないような日米関係であってはなりません。本当の同盟国であるならば、沖縄の人への不安をも払しょくしてもらいたいものです。 



検査感染者数だけじゃなく、その向こうにもっと多くの人がいるだろうことを想像しながら、病院のベッドのひっ迫状況を把握し、今現在、日本で起こっている新型コロナの状況を、一人一人がイメージすることが大事であり、そのために、メディアは感染者数だけの発表はやめて、相対的な情報を毎日国民に報道していくべきでしょう。そうすることでむやみやたらと不安がるべきか、もっときちんとコロナを防ぐ取り組みをするべきか、が見えてくるのだと思います。

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