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パリ最新情報「節電で湯たんぽがカムバック。湯だけではない、フランス昔ながらの方法も」 Posted on 2024/02/13 Design Stories
フランスでは2月から、電気料金が再び値上げになった。
今回は契約に応じて8.6%〜9.8%の値上げとなる。
しかし電気料金の値上げは2022年から段階的に行われており、2年前の今と比較すれば、全体で約40%もアップしたことになる。
幸い2月は暖かい日が続いているが、上昇の止まらないエネルギー価格に国民の節電意識は高まる一方だ。
※売り場を広げるフランスの「節電対策」コーナー。
そんな中、経済的で手軽に使える防寒アイテムとして、日本でもおなじみの「湯たんぽ」がフランスの家庭で復活しつつある。
湯たんぽと言えばラバー製や金属製のものをイメージするが、かつてのフランスでは温められたレンガが湯たんぽの代わりになっていた。
1930年代まであったという熱レンガは、暖炉の近くで温められたあとに厚手の布にくるまれ、ベッドの中に入れるなどして広く使われた。
©Objets d’hiver
※二スの塗られたレンガは、19世紀頃からフランス全土で使われていた。
現在の湯たんぽは、より環境にやさしく、より安全なモデルで復活を遂げている。
お湯を入れるタイプから電子レンジで温めるジェル状のものまで、その種類は日本にも引けを取らない。色やかたちもどんどん増えており、節電を意識したフランス人の強いニーズを感じる。
※フランスの伝統的な方法、さくらんぼの種を使った湯たんぽ(カイロ)。
エコ、節電、お財布にやさしい。
これらがキーワードになっているフランスでは、お湯を使わない“植物系の湯たんぽ”が再流行している。
その一つに、さくらんぼの種がある。
さくらんぼの種を使った湯たんぽ(カイロ)は、仏東部・アルザスの伝統に基づいている。
厳しい寒さで知られるアルザスの人々は、さくらんぼジャムを作ったあとの種を捨てずに、加熱して靴下やシャツの袖に忍ばせていた。
これはおばあちゃんの知恵として受け継がれてきた方法だったが、今では雑菌や腐敗の心配がない上にエコだとして、女性たちから高い人気を集めているという。
なおさくらんぼの種は、温め用・ひんやり用のどちらにも使える。温める場合は600Wの電子レンジで2分だけとシンプルだ。
※亜麻の実を使ったぬいぐるみ仕様の湯たんぽ(カイロ)。
※同じく、亜麻の実を使った生理痛のための湯たんぽ。感触は日本のそば殻枕と似ている。
ほかにも亜麻の実や小麦の実、ラベンダーを使用したものや、フランスらしい香り付きのものがある。
小さなお子さま用や女性の生理痛用、肩・腰、足もとに特化したタイプもあり、お湯を入れる湯たんぽと並行してさまざまな種類が揃っている。
このようにエアコンがほとんど設置されていないフランスでは、冬の節電が特に重要視されている。
エネルギー危機から始まった湯たんぽ人気は、環境とお財布の両方にやさしさが求められるフランスで長く続いていきそうだ。(チ)