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パリ最新情報「世界最大級の首都を目指し拡大するパリ。グラン・パリ計画とは?」 Posted on 2023/02/15 Design Stories  

 
オスマン伯爵による19世紀のパリ改造計画。
これによって、今のパリは構築された。
当時の改造計画はパリの街並みを美しく統一させるだけでなく、下水道などのインフラもきちんと整えることが目的だった。
そのためこの一大事業は、すべてが完了するまでに約20年もの年月を費やしたという。

あれから約150年、今、パリはあの日と同じように生まれ変わろうとしている。
これは「グラン・パリ計画(La Métropole du Grand Paris)」と呼ばれる、パリの拡張計画だ。
つまり現在20区で構成されるパリが将来的に広がり、その境界線が郊外まで拡大するということだ。
 

パリ最新情報「世界最大級の首都を目指し拡大するパリ。グラン・パリ計画とは?」



 
計画が始まったのは2007年、発足は2016年1月1日のことだった。
グラン・パリを形成するのはパリ市と、北部セーヌ=サン=ドニ県、西部オー=ド=セーヌ県などパリを囲む周辺自治体、合計では131の市町村となる。
その目的はさまざまで、住宅の分散(パリ市の過密を避けるため)、緊急避難所の確保(難民救済のため)、温暖化問題、経済開発などの重要な分野で共に協力し合うというものだ。
面積はパリの8倍にあたる814km²に及び、総人口では約720万人を数える。
グラン・パリ計画によればニューヨークやロンドンに匹敵する、もしくはそれ以上の世界的な大都市を目指したいということだ。
 

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また、各地域にはそれぞれの強みがある。
例えば北部のサン=ドニからパンタン市にかけては今、映画のセット・スタジオ・舞台・その他美術関係の振興地区となっており、同地域もそれに付随した芸術施設を続々と建てている。
ということでパリ北部郊外は今後、モンマルトルに変わる「新しい芸術の街」として活気づくことが期待されている。

逆にパリ西郊外には、フランス大企業の本社が多く籍を置いている。
この場所はすでに新凱旋門のあるラ・デファンス(La Défense)を中心とした、ヨーロッパ最大規模を誇るビジネスエリアでもあった。※仏大手銀行、電力会社、石油会社などの本社がある。
ただ周辺地域ではレジャー施設などの建設も進んでおり、今後はフランス最大の経済都市として君臨するだけでなく、殺伐としたオフィス街というイメージを払拭する狙いもあるそうだ。

その他、パリの住宅過密を緩和するため、東部では住宅開発が行われたり、南部では文化教育機関・スポーツ施設などが相次いで誕生している。
こうして各地域の特色をさらに強化することにより、パリに一極集中していたパワーバランスを分散させ、強く、調和のとれた首都圏にするというのがグラン・パリ計画の目的である。
人口がパリに集中しないことで、長期的に見れば温暖化や公害問題の解消にも繋がるという。
 

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そして現在、グラン・パリ計画で最も注目されているのが、新交通網の「グラン・パリ・エキスプレス」だと言えるだろう。
簡潔に言うと、これまでパリ圏内だけを走っていたメトロが将来的に郊外まで延びることになる。(地下鉄14,15,16,17,18番線。一部は延長、一部は新規路線)
しかし期待されているのはただのメトロではない。
現在の地下鉄1番線・14番線に見られる「自動運転」だ。
自動運転のパリメトロは度重なるストライキにも動じず、終日運転を続けるとして市民から最も支持を集めている。
グラン・パリ・エキスプレスではこの自動運転化のほか、パリを通過せずに郊外の主要な活動拠点を結ぶ「新しい地下鉄」を目指すという。
2026年、2028年、2030年と3段階に分けて試運転の予定だというが、資金繰りのため遅延になる可能性も大きい。
 

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※グラン・パリ計画では自転車専用レーンも現在の5,8kmから200kmに拡大予定。



 
グラン・パリ計画の中には、開発が続く場所に生まれる新たなアドレスと、既存のアドレスとがある。
文化芸術、スポーツ、教育、経済といった地域の性格をそれぞれ活かすというのもグラン・パリ計画の特色だ。
2016年から始まり2030年過ぎあたりに完了すると言われるこの壮大な都市改革は、19世紀末にあったパリ改造計画を彷彿とさせる。(オ)
 

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