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パリ最新情報「2022年上半期、フランス人の食のトレンドが明らかに」 Posted on 2022/07/02   

 
2022年上半期、フランスにおける食のトレンドと動向が明らかになった。
フランスで30店舗を展開するブーランジェリー・チェーン店「L’atelier Papilles(ラトリエ・パピーユ)」が調査を行ったもので、大きく分けて6つのトレンドがあるという。
これによって、フランス人の食に対する意識が数年前より随分と変化していることが明確になった。

1、自然派食品

まず大きなトレンドとして、例年通り「自然派食品」というコンセプトが浮上した。
フランス人は、パンデミックを通して健康的な食事が元気の源であることを肝に銘じるようになった。
そのため人々は添加物や遺伝子組み換え、農薬などを使っていない製品を大いに求めているという。
食品の成分は消費者自身が読み解く。
フランスには「YUKA(ユカ)」というアプリがあって、食品のバーコードをスキャンするだけで即座にそのクオリティを分析してくれる。
仏国内ではこのアプリが2021年に人気TOP10入りを果たした。
消費者自身が購入する前に判断し、身体に良い食品を率先して選択する、そんな傾向が見られるようだ。
 

パリ最新情報「2022年上半期、フランス人の食のトレンドが明らかに」



 
2、フレキシタリアン

フランスは肉食大国だが、それを週に一回にするなど意識的に肉食を減らす「フレキシタリアン」が増えている。
ベジタリアンやヴィーガン人口は増えつつあるものの、彼らはパリなど大都市に集中している。
しかしフランス全体で見ると、このフレキシタリアンは実に34%にも及ぶという。(2020年、L’atelier Papilles調べ)
そのため野菜や果物、穀物をふんだんに使った料理、卵料理やモッツァレラチーズが大いに人気であるとのことだ。
特にモッツァレラチーズ、ブッラータはフランスでも大流行している。
 

パリ最新情報「2022年上半期、フランス人の食のトレンドが明らかに」

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3、サンドイッチ

フランスにおけるサンドイッチは、バゲットにハムやチーズを挟んだ「バゲットサンドイッチ」が主流であった。
もちろん今でもたくさん売られているが、それ以上にバリエーション豊かな国際的サンドイッチが台頭してきている。
日本のサンドイッチをはじめ、レバノンサンド、ベトナムのバインミーなど、手軽で楽しいランチとして人気は高まる一方だという。
 

パリ最新情報「2022年上半期、フランス人の食のトレンドが明らかに」

※パン屋さんで売られているバゲットサンドイッチ



 
4、多国籍料理

他国のレシピ、またはフランス料理と外国料理のフュージョンメニューもトレンドの一つである。
最近の旅行離れで、新しいものを発見したいというフランス人の思いが以前より強くなっているという。
ハワイをイメージしたポケ丼、北欧をイメージしたノルウェー・ラップ、地中海をイメージした地中海タコスやギリシャ風サラダ、そしてアジア各国の料理など、本当に多くのレシピがインターネットで紹介されている。

5、グルテンフリーのパティスリー

甘いものに対する消費者の行動も変化している。
フランスのパティシエたちは、砂糖の量をできるだけ控え、グルテンフリー、ラクトースフリーなど、以前よりずっと健康に良いパティスリーを発案するようになった。
それとは別に、多国籍テイストがパティスリー界でも大いに浸透している。
嬉しいことに日本の味、特にMOCHI(大福)は今日のデザートシーンで強い印象を与えているとのこと。
最近ではあのピエール・エルメもオリジナルのMOCHIを発表するようになった。

6、テイクアウト人気

コロナの時代、フランス人はお気に入りのレストランに出向く機会がほとんどなかった。
そのため持ち帰りのトレンドは当然ながら勢いを増し、現在でも約6割のレストランが持ち帰りを提供している。
美味しくて便利なテイクアウトを少なくとも月に二度、自分へのご褒美として用意するフランス人が増えているとのことだ。
 

パリ最新情報「2022年上半期、フランス人の食のトレンドが明らかに」

※男性に人気のメキシカン・ブリトー

 
今年上半期のフランスにおける食の動向は、パンデミックの影響を色濃く残すものだった。
人々はより健康志向に傾き、多国籍料理に興味を抱いている。
食の好みは時代とともに変化して然るべきものであるが、パンデミックという一大事件がフランス食文化をここまで変容させた、というのはなかなかの驚きであった。(セ)
 

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