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パリ最新情報「料理で世界をつなぐ、特別なフードフェスティバルがパリで開催中」 Posted on 2023/06/17 Design Stories
「料理には計り知れないパワーがある」とし、難民シェフが自国の料理を紹介する特別なイベントがパリで始まった。
これは“Refugee Food Festival”と呼ばれ、今年で8回目を数える。
6月20日の世界難民の日に合わせたイベントで、期間中は参加レストランがシリア、アルジェリア、スーダン、グルジア、アフガニスタンといった国から逃れてきた難民シェフたちに厨房を貸し、各地の料理を皆で堪能しようという目的がある。
パリでは6月13日〜26日の開催だが、ボルドーやリヨンを初めとしたフランス各地でも同時期に開催されている。
なお料理はそのままレストランで提供される。
今年はパティスリーやパン屋も数多く参加した。
※シリア料理。パリのレストラン「ISOLÉ」で6月13日に提供された。
Refugee Food Festivalの主催者は、「料理を紹介するだけでなく、難民たちのキャリアと才能を促進する目的がある」とも述べている。
また各地の名産品・伝統料理をテーブルを囲みながら分かち合い、人々の尊厳を回復し食の可能性を広げることを使命としているのだという。
モンマルトル近くにあるパン屋さん「Boulangerie Léonie」では、スーダンのパン職人が二つの作品を紹介してくれた。
彼がここでオーブンを借りるのは6月13日〜18日までの6日間。
パリでは12カ所のレストラン、パティスリー、パン屋がRefugee Food Festivalに参加しているが、期間としてはこちらが一番長いそうだ。
一つは「ソルガムきび粉」を使ったハート形のパン。
ソルガムきび粉はアフリカが原産の穀物で、干ばつに強く、紀元前3000年ごろから栽培されてきたのだという。
またタンパク質を多く含むことから、ソルガムきび粉はスーダンを初めとするアフリカ大陸で広く親しまれていると教えてくれた。
※中身はずっしり・むっちりしていて、味は全粒粉パンに似ていた。
もう一つはスーダンの名産、デーツを使ったパウンドケーキ。
ナツメヤシの実であるデーツは栄養価も高く、母国ではおやつやラマダン中の栄養食として食べるそうだ。
Refugee Food Festivalではこのように、各国の名産・伝統を、フランスの食文化とフュージョンさせた料理が振舞われている。
イベントに参加したシェフたちも「国を離れる時には荷物をたくさん持っていけないが、文化的な記憶は持っていくことができる」と述べており、中にはパリで出店を目指す人もいるのだという。
なおRefugee Food Festivalは現在フランス国内の13都市で開催されており、紹介される国は合計で31か国にも及ぶ。(大)