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パリ最新情報「フランスが報じた日本の米離れ、パン人気。しかし食の多様化はフランスにも」 Posted on 2023/07/12 Design Stories  

 
日本の主食は米である。
これは、フランスでもよく知られている。
しかしその日本で「米離れが加速している」という現状を知る仏人は、今のところほとんどいない。
7月上旬、そんな日本の米離れをいくつかの仏紙が報じた。
「日本人はかつてないほど米を食べない」、「KOME BANARE(米離れ):米からパンに切り替えた日本人の驚き」という見出しで始まっており、日本では1人当たりの米消費量が減少し続けている、などと述べている。
 

パリ最新情報「フランスが報じた日本の米離れ、パン人気。しかし食の多様化はフランスにも」

※Slate.frより。



 
仏オンラインマガジンのSlate.frでは、「典型的な日本人の朝食はもはやご飯、味噌汁、焼き魚といった伝統的な食べ物で構成されていない」とあった。
同誌はさらに、日本人の米消費量は年間118kg・1日お茶碗5杯強で1962年にピークに達したが、2020年には約半分の51kgになった、とも報じており、特に朝は手軽なパンを食べる人が増え続けていると指摘した。

それではなぜ日本で米離れという現象が起きているのか。
Slate.frはこう言及している。
まず和食の朝食を作るには時間がかかること、仕事時間(家事育児含む)の長さから簡単で便利なパン食を好むようになったこと、日本人が世界のさまざまな料理により興味を持つようになったこと、などを日本人のインタビューを交えながら紹介した。
さらにSlate.frは「米の衰退は皿の上だけでなく、精米店の減少にも繋がっている」と指摘。
今ではその多くが老舗店になっていると説明した。
(全体的な内容としては否定も肯定もしておらず、日本の現実を率直に述べた記事が多かった。)
もちろん米離れの理由は上記の3つだけではないと思うが、原因の一つである「食の多様化」については、フランスでも同じことが起こっていると言える。
 

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パリ最新情報「フランスが報じた日本の米離れ、パン人気。しかし食の多様化はフランスにも」

 
例えば近年では、若い世代の朝食スタイルが変わりつつあるという。
フランスの朝食はクロワッサンやタルティーヌに代表される。
※タルティーヌ:バゲットにバターやジャムを塗ってカフェオレに浸して食べる。
クロワッサンもタルティーヌも、準備にはそもそも時間がかからないのだが、若い世代では「平日はもっと手軽にしたい」とシリアルを好む人が増えている。
そのシリアルもBIOだったり、オートミールだったり、ミューズリー、グラノーラ系と多種多様だ。
パン・パスタをしのぐ売り場面積にも驚かされる。
 



パリ最新情報「フランスが報じた日本の米離れ、パン人気。しかし食の多様化はフランスにも」

 
クロワッサンやタルティーヌではタンパク質が足りず、糖質が多すぎると指摘する健康派もいる。
そうした人たちには今、ギリシャヨーグルト、スキール(Skir、アイスランドの乳製品)にフルーツを添える、といった朝食が人気のようだ。
この高タンパク系もまた、フランスのスーパーにて売り場面積がどんどん増えている。
 



 
平日に限っては、フランスの人々はもともとシンプルな食事を好む。
しかし短時間で現実的、少量調理が可能な商品は、ソーシャルメディアの発達によりますます受け入れられているといった印象だ。
またパリを筆頭に、フランスでは外食産業においても多国籍化が進んでいる。
バゲット離れ、とまではなっていないが、トレンド・情報の流れが早い、豊富な食の選択肢。これは日本もフランスも共通しているのではないだろうか。(チ)
 

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