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パリ最新情報「フランスでは発酵食品がブーム。コロナ禍、インフレを経て再注目される」 Posted on 2023/03/13 Design Stories  

 
フランスでは、発酵食品が2023年のトレンド食の一つとなっている。
発酵食品とは古来から存在する食べものだが、再び注目されるようになったのは、やはりパンデミックから始まった人々の健康志向からであった。
例えば首都パリではここ数年で、コンブチャ(KOMBUCHA)の人気が急速に高まり、さまざまなショップでボトル飲料として販売されている。※コンブチャ…紅茶や緑茶に「紅茶きのこ菌」を入れ、発酵させて作った飲みもの。

現在のフランスの大きな社会問題としては、インフレやエネルギー代の高騰がある。
パンデミックがようやく落ち着いたと思ったら、今度は食費や生活費が脅かされてしまった。
仏メディアも3月以降のインフレ率がどれだけ高いかを報道しており、年金改革のストも終わりの兆しを見せていない。
こうして重い社会問題に直面するフランスでは、「電気を使わず自然に、安くできる食品加工法」として、長期保存可能な発酵食品に再びスポットライトが当たり始めた。
 



パリ最新情報「フランスでは発酵食品がブーム。コロナ禍、インフレを経て再注目される」

 
フランス由来の発酵食品には、チーズやワインビネガーなどがある。
また生ハムやドライソーセージも発酵食品だということだ。
しかしチーズとドライソーセージは塩分が強いため、フランスでも「適切な量を、ほどほどに」と言われる機会が多い。

このたび仏メディア「Santé Cool」で紹介されたのは、「最近、私たちの食生活にあまり溶け込んでいない他の製品が “トレンド “になっています。
発酵飲料のコンブチャやケフィア、果物や野菜を酢漬けにしたピクルス、味噌、キムチなどがそうです」という内容だった。
また、ヨーグルトやザワークラウトも良いが、世界にはたくさんの発酵食品があり、こうした食品を積極的に取り入れたい。
これらは家庭で作ることもでき、安価であるため、インフレ環境下では理想的であり2023年の発酵食品ブームに一役買うだろう、とSanté Coolは紹介した。
 

パリ最新情報「フランスでは発酵食品がブーム。コロナ禍、インフレを経て再注目される」

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実際には日本食や韓国料理のブームもあって、味噌やキムチはパリを中心にかなり浸透してきているといったイメージだ。
フランス料理店でも「○○のmiso風味」などといったメニューを見かけるし、食通の間ではすでにブームとなっている兆しもある。

しかし2023年のフランスにおける発酵食品ブームは、できるだけ自宅で作れるものを基盤としている。
味噌やキムチはまだまだアジアスーパーでの入手が一般的となっているが、ここまでのインフレだと、健康意識の高いフランス人を筆頭として、自宅でこしらえる日も近いのかもしれない。(原材料はフランスでも入手できる)
一方でピクルスなど野菜の酢漬けは、瓶に詰めて保存している家庭が少なくない。
日本ではぬか漬けなどがあるが、フランスの調理法としては紫キャベツや人参、カリフラワーなどといった野菜の酢漬けとなる。
 

パリ最新情報「フランスでは発酵食品がブーム。コロナ禍、インフレを経て再注目される」



 
フランスはもとより、ヨーロッパにおける発酵食品のパイオニアだった。
チーズに代表されるそれは、世界的に権威あるパスツール研究所で19世紀、乳酸発酵およびアルコール発酵の発見によっても証明されている。

ただフランス国立農業研究所(INRAE)は、発酵食品を試してみたいという方は、自分の体の声に耳を傾けながらゆっくりと始めるのが大切だ、と述べている。
また新鮮でオーガニックな原材料を選ぶことが重要で、「食事はバランスが良く、多様であってこそ健康的であることに留意する必要がある」とした。
 

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ロシアによるウクライナ侵攻開始から一年が経過した。
フランスでは、食品インフレのピークはこの春になると予想されている。
健康にもお財布にも大きなメリットのある発酵食品は、電気を使用せず添加物なしで食品の長期保存を可能にするとして、2023年のフランスで注目を浴びている。(大)
 

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