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パリ最新情報「フェミニズムと肉食について、女性政治家の発言がフランス国内で炎上」 Posted on 2022/09/09 Design Stories  

 
「家事を分担しないパートナーを、刑事処罰の対象に」
これは以前にパリ最新情報で紹介させていただいた、サンドリーヌ・ルソー氏(現パリ第9選挙区のエコロジスト議員)の問題発言だ。

その後はフランス国内でとんでもない炎上騒ぎを引き起こし、無名だった彼女は良くも悪くも注目される女性政治家の一人となった。
しかし8月27日、ルソー氏は再び問題発言を口にしてしまう。
国民から「白人男性逆差別」「極論で危険な思想」と意見が寄せられ、ソーシャルメディア上でも大きな物議を醸している。
 

パリ最新情報「フェミニズムと肉食について、女性政治家の発言がフランス国内で炎上」

※サンドリーヌ・ルソー氏



 
「バーベキューが男らしさの象徴とあるように、私たちは(肉食について)メンタリティを変える必要があります」
サンドリーヌ・ルソー氏は、8月27日のグルノーブルにおける会合でこう語った。
フランスを初めとする欧米では、バーベキュー=男性の仕事といったイメージがあり、男性は女性よりも多く肉を消費しているという統計がある。
つまりルソー氏は、白人男性がより肉食であることから、「環境汚染を誘発しているのは男性側である」と強調したのだ。
※畜産業はCO2の増加、森林破壊の原因と言われている
 

地球カレッジ



 
この発言に対して、現場に居合わせた男性議員は「肉は経済状況によって食べるのであって、性差で食べるのではない!」とすぐさま反論。
その一部始終は各メディアで報じられ、ソーシャルメディアにもあっという間に拡散された。
「バーベキューは危険が伴うため我々男がやっている。それでは戦争に男しか行かないのは逆に差別ではないのか?」「私は男だが肉を10年食べていないし、環境保護には強い関心を持っている」など、フランス男性からの反発の声は今でも止まらない。

数字だけで見れば、フランスにおける肉類(鶏肉を除く)の消費量の中央値は、18歳から79歳の男性で1日43グラム、女性では27グラムとなっている。
しかし、これを「男性だけが環境破壊を促進している」と捉えるのはやはり極論と言えるだろう。
 



パリ最新情報「フェミニズムと肉食について、女性政治家の発言がフランス国内で炎上」

 
フランスではヴィーガン人口が増えているほか、フェミニズム運動も依然として活発的だ。
ところがほんの一握りではあるが、彼らの中で過激な発言を繰り返す人がいる。
フランスで度々問題になるのは、ルソー氏のような男性への強い物言いが日常でも行われているということである。
例えば筆者の周りでは、スポーツジムにおいて男性が半裸で運動しているのに対し、「男女平等ではない。男性も上半身を隠さなければならない」と訴える若いフェミニストの女性がいた。
しかし、指摘された男性側は「海やプールでは良くて、なぜジムではいけないのか?」と反論。
その場で激しい口論となってしまった事件があった。

つまり男性(特に白人のヨーロピアン)は今、不満を持つ女性活動家から逆に攻撃のターゲットになってしまっているというのだ。

問題発言以降、サンドリーヌ・ルソー氏からの謝罪はなかった。
しかし彼女はその後、仏紙ouest franceにおいて発言の真意を説明している。
同氏によれば、「男性と肉食を結びつけ、強い言葉で彼らに気づきを与える必要があると思いました」と、地球温暖化によるフランスの猛暑を危惧したものだったという。
男性を攻撃する意図はなかった、とルソー氏は付け加えたが、彼女は今回の一件でまた「炎上議員」として名を馳せてしまった。(コ)
 

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