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パリ最新情報「パリ・オペラ座バレエ団、最高位『エトワール』にオニール八菜さんを任命。日本人初」 Posted on 2023/03/05 Design Stories
世界最古の国立バレエ団、パリ・オペラ座バレエ団(Paris Opera Ballet)は2日、最高位の踊り手「エトワール」に東京都出身のオニール八菜(はな)さんを任命した。
パリ・オペラ座バレエ団は厳格な階級制度があることでも知られている。
現在154人が在籍するバレエダンサーには五段階の階級が用意されており、その最高位がエトワール(étoile)で、日本人では史上初の選出となる。
パリ・オペラ座バレエ団は354年の歴史を持ち、モスクワのボリショイ・バレエ団、ロンドンのロイヤル・バレエ団らと並び、世界最高峰の4大バレエ団のひとつに名を連ねている。
所属するバレエダンサーは154人とのことだが、バレエ団および付属のバレエ学校に入るための競争は熾烈を極め、団員のレベルと競争意識を高めるための昇級試験も毎年行われるという。
※付属のバレエ学校はパリ郊外のナンテール(Nanterre)にあり、全寮制。入学試験の合格者は全体の10%以下という狭き門。
任命が言い渡されたのは、3月2日にパリ・オペラ座で行われた「バレエ・アンペリアル」の公演後だった。
これまでの伝統に従ってオペラ・ガルニエ宮の舞台上にて、舞踊監督ジョゼ・マルティネス氏より直接オニール八菜さんと、フランス人男性ダンサーのマルク・モローさんの二名が同時に選出された。
なおエトワールは現在17名しかおらず、引退年齢は他の階級と同じく42歳であるが、エトワールの身分は生涯続き、退団後も永続して名誉あるものとなる。(42歳という年齢はフランスの法律でも定められてる。パリ・オペラ座バレエ団がフランス国立で、国家公務員扱いになるため)
また近年までエトワールは、付属のバレエ学校出身者であり、仏人にしか門戸を開放していなかった。
過去の外国人エトワールにはアルゼンチン出身のリュドミラ・パリエロさん(2012年)と韓国出身のパク・セウンさん(2021年)の二人のみで、オニール八菜さんで実質三人目となる。
仏メディアはオニール八菜さんの任命について、「国際的に最も権威のあるローザンヌ・バレエコンクールでグランプリを受賞した後、18歳でフランス語を話せないまま、オペラ座バレエ団に“超人”として入団した。
当日はオペラ座の観客がスタンディングオベーションで、新たなスター誕生を祝福した」と報道した。
また仏紙Actu Parisに至っては、「彼女は付属バレエ学校の出身ではないが、オペラ座バレエ団に長年在籍していたその才能と努力からは当然の結果である」とも述べている。
一方で男性ダンサーのマルク・モローさんは、付属バレエ学校出身の36歳。
42歳で定年退職するまで7年を切った今回のエトワール就任は、熟練した確かな技術と、成熟した芸術を示すものとしてオペラ座バレエ団から大きな期待を寄せられているという。(チ)