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パリ最新情報「パリの地下鉄、国葬の日に合わせ『エリザベス2世駅』と改名。一日限定で」 Posted on 2022/09/21 Design Stories
9月19日、イギリスで行われたエリザベス女王の葬儀に合わせ、パリの地下鉄1号線George V(ジョルジュ・サンク)駅が一日限定でエリザベス2世駅となった。
地下鉄を運営するRATP(パリ交通公団)はこの日、「ジョルジュ・サンク駅をエリザベス2世に改名し、英国女王に敬意を表します」と表明、駅構内6枚のうち3枚の表示板を「ELIZABETH II」(1926-2022)と改名した。
なお表示板は同日未明に取り付けられ、日付が変わる前の夜間に撤去されている。
地下鉄1号線、ジョルジュ・サンク駅はパリで最もイギリスに縁の深い駅である。
ジョルジュ・サンクはフランス語でジョージ5世(在位1910〜1936年)を意味しており、エリザベス女王の祖父にあたる御方であった。
1920年まではアルマ駅という名だったが、第一次世界大戦におけるイギリスのフランス支援に感謝の意を表して、ジョルジュ・サンク駅と命名された。
この駅はシャンゼリゼ大通りに面しており、パリ市民だけでなく観光客にもよく利用されている。凱旋門にも程近く、駅からセーヌ川方面に続く一本道は駅名と同様、ジョルジュ・サンク通りと名付けられている。
エリザベス女王はフランス人からも大変に親しまれた存在だった。
その長い在位の間で交流のあった仏大統領は8人を数え、戦後の英仏の懸け橋ともなっていた。
エリザベス女王の逝去に関してはフランスでも連日のように報じられており、先日行われた国葬の様子はフランス国内で600万人以上が視聴したと報道された。
なお9月9日の女王崩御の際には「パリ市民の弔意を表して」というアンヌ・イダルゴ市長のメッセージもと、エッフェル塔が完全に消灯されている。
19日にジョルジュ・サンク駅を訪れた乗客は、仏メディアのインタビューに対し「フランスとイギリスの友好の証」「女王は私たちの歴史の一部です」と語り、RATPが捧げたオマージュに深く賛同した。
またマクロン大統領はエリザベス女王の逝去にあたって、「フランスは、70年間不変の強さと道徳的権威をもって歴史を刻んだエリザベス女王に敬意を表します。20世紀の巨人たちとともに歴史の道を歩んできた彼女は、彼らのもとに旅立っていきました。フランス共和国とフランス国民は、イギリス王室、政府、そしてイギリス国民に、古くからの友情の証と悲しみを捧げます」と弔辞を述べている。
女王崩御から10日間、フランスは格別の敬意をもって彼女の軌跡を報じていた。(大)