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パリ最新情報「どうなる?!2022年フランス大統領選」 Posted on 2021/10/24 Design Stories  

波乱が予想される次のフランスの大統領選。
第五共和政9代目となる大統領選は、2022年の4月10日と24日の2回に分けて行われることが決まっている。

フランスの大統領は、1965年から国民による2回の直接選挙で選ばれる。
もし、1回目で絶対多数が取れない場合は、上位2名の一騎打ちとなり、2週間後の4月24日に決定選挙が行われるという仕組みだ。

すでに20人以上の候補者が公表され、それぞれが選挙活動を開始するも、フランス国民の間では「前回の2017年と同じように、マクロン氏とルペン氏の2択なのでは?」と、くすんだ空気が漂っていた。

ところが、ここにきて極右的主張の評論家エリック・ゼムール氏が大きく支持を伸ばし、予想外の展開を見せ始めている。
ゼムール氏は、フィガロ紙のコラムニストやテレビのコメンテーターを務める、フランスでもかなり知名度が高い人物だ。

また彼はデバ(議論)を非常に得意とし、フランスでもその達者ぶりが認められている。(フランスではデバが強ければ強いほど良しとされる習慣がある)



10月22日に行われたLe Monde紙による最新の世論調査では、現職マクロン大統領(支持24%)に次ぐ2位(支持16%)となる人気を集めた。(ルペン氏は15%と僅差で下落した)

急浮上したゼムール氏については、これまでマクロン氏もルペン氏も言及してこなかったが、10月に入って彼を意識する発言が目立つようになってきた。

マクロン氏を自由貿易、移民などに好意的な「グローバリスト」とするなら、ルペン氏は国のアイデンティティーを守る「ナショナリスト」だと位置づけられている。
ところが、台頭してきたゼムール氏はルペン氏の上を行く極右的なナショナリストだ。

増える移民に異を唱え、「子どもにフランス風の名前を付けさせるべきだ」などの過激発言で物議を醸しだしたこともある。
ルペン氏とゼムール氏は「移民問題」について一致している点が多いものの、決定的に異なるのはゼムール氏が「フェミニスト」に向けた批判が多く、同性愛者に対しても否定的だということだろうか。

さらに先日、「理想とする国のモデルは日本だ」とメディアで語り、フランスでも日本でもニュースになったことは記憶に新しい。

パリ最新情報「どうなる?!2022年フランス大統領選」



度重なるテロ、コロナ、黄色いベスト運動や交通ストなど、この7、8年のフランスはいつにも増して荒れていた。
多様化が進むフランス、というのは紛れもない事実だが、一方で保守派が台頭してきているというのもまた事実である。

しかし、「移民問題」や「ナショナリズム」など、この手の話題はフランスではかなりセンシティブなものなので、言葉を慎重に選ぶ必要がある。
今ゼムール氏に一番熱狂しているのは、フランスのメディアと言えるかもしれない。

ということで、現職マクロン大統領、ゼムール氏、ルペン氏が今のところ優勢となっているが、これは大統領選半年前の調査結果に過ぎない。直前にはまた新たなどんでん返しが起こる可能性もある。

現在、絶対的な改革を求めるフランス人にとって、次の大統領選は大きな関心事となっている。ゼムール旋風が続くのか、マクロン氏が続投するのか、はたまた理想の指導者が現れてくれるのか。今後の展開が気になるところである。(オ)

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