欧州最新情報

パリ最新情報「フランス国民議会選挙、左派・与党候補者の撤退が事態をどう揺るがしたか」 Posted on 2024/07/04 Design Stories  

 
フランスの行方を左右する2024年の国民議会選挙は、7月7日に決選投票が行われる。
6月30日に実施された第1回目の投票では、極右政党「国民連合」が33%で首位に立ち、次いで左派連合の「新人民戦線」が28%、マクロン大統領が率いる与党連合が21%という結果だった。

定数577議席のフランス国民議会選挙は、2回投票制で実施される。第1回目で有効投票の過半数を獲得した候補者がいればそのまま当選となるが、いない場合は2回目の決選投票で決まる。決選投票には、1回目投票の上位2候補と、得票率の12.5%以上を獲得した候補者が集まる仕組みだ。
 

パリ最新情報「フランス国民議会選挙、左派・与党候補者の撤退が事態をどう揺るがしたか」



 
「国民連合」がトップに躍り出たことは、事前の世論調査で予想されていたにもかかわらず、「歴史的」「政治情勢の大きな変化」としてフランスで大きく報道された。
しかも、最終的な投票率は66.7%。告知から3週間という短い期間だったが、これほど高い投票率に反映されたのは、フランス国民の関心の高さと「暮らしをよくしたい」という強い思いにほかならない。

現在フランスでは、7月7日の決選投票で「国民連合」がどこまで議席数を獲得できるか? に焦点が当たっている。得票が577議席の過半数に達した場合は、「国民連合」の党首であるジョルダン・バルデラ氏が首相に就任する可能性があるためだ。※バルデラ氏は、首相になるためには289議席の獲得が必要だと公言している。
 



 
ところが7月2日には、左派「新人民戦線」と与党連合から、計220人以上の候補者が決選投票へのエントリーを辞退した、という発表があった。いずれも第1回目の投票で、得票率2位と3位を獲得した政党である。辞退の理由は、対抗する極右「国民連合」が、決選投票で絶対過半数を獲得するのを阻止するためだという。
このほとんどは、“3人以上の候補者が集まる”国内311の選挙区内で起こった。つまり今回は、得票率が上位だった左派勢力の候補者が、「国民連合」に対して優位に戦うことができるよう、下位の候補者たちが身を引いたのだ。
 



パリ最新情報「フランス国民議会選挙、左派・与党候補者の撤退が事態をどう揺るがしたか」

 
こうなれば決選投票の行方は、辞退した候補者に投票した、有権者の選択にかかっていると言えるかもしれない。
仏メディアも、「今回の辞退は、当初の政治的対立の本質を変えつつある。このような状況下では、国民連合が絶対過半数を獲得することはより困難になるだろう」との見方を強めている。
しかしながら、決選が混戦となることは間違いない。左派勢力のテクニカルな戦略が、極右「国民連合」の勝利を阻止する可能性もあるが、棄権投票や白紙投票はより増えるだろうと予想されている。一方で「国民連合」は、他陣営との連携もあり得るなど含みを残したままだ。7月7日の決選投票には、フランス501の選挙区で、1,094人の候補者が揃う。(内)
 

自分流×帝京大学