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パリ最新情報「秋田の名物駅弁、パリのリヨン駅で期間限定販売!」 Posted on 2022/02/09 Design Stories
日本のお弁当は、フランスでは「BENTO」と呼ばれ、今や多くのフランス人に親しまれるテイクアウトメニューとなった。
コロナ禍で需要が急激に伸び、最近では弁当箱を販売するフランスのショップもかなり増えた。
さまざまなバリエーションがあるお弁当だが、旅のお供に欠かせないもの、と言えば絶対的に駅弁だ!
小さい頃、外で食べる弁当は、遠足や旅行など非日常の楽しい体験とセットになっていた。
成長して大人になっても駅弁だけは別格で、非日常感をいくつになっても味わえる。
地域ごとの名物が詰まった内容にはことさらワクワクしてしまう。
実は、そんな駅弁を販売するショップがパリのリヨン駅に期間限定で登場したのである。
(2022年4月末まで)
リヨン駅は、パリにある主要な駅のひとつ。フランス国鉄のTGVをはじめ、多くの路線の拠点となるパリの玄関口だ。
この場所に出店したのは、秋田県大館市にある創業120年余りの老舗駅弁会社「花善」。
JR大館駅の名物駅弁「鶏めし」を看板商品とし、秋田の名物をあしらった「秋田弁当」、「肉弁当」、「プチ鶏めし弁当」、「おにぎりセット」、「ベジスシ弁当」の6種類を展開する。
主力の鶏めし弁当は、JR東日本の駅弁コンテストで1位を獲得したこともある。
あきたこまちのご飯、味の染みた鶏肉が特徴で、今も一つ一つ手作業で詰められているという。
秋田名物が楽しめる秋田弁当に至っては、鶏めしの他にもきりたんぽやいぶりがっこ、稲庭うどんが豪華に収められている。
ショップでは片隅に電子レンジが置かれ、日本人ならではの気配りもあった。
(フランスではスーパーなどに設置されているが、駅構内ではほとんど見かけない。)
ただ、「BENTO」は知っていても、「EKIBEN」のいろはを知るフランス人はほとんどいない。
フランスの大型駅では食べ物も売られているのだが、そのほとんどがサンドイッチ、サラダといった軽食で、旅の道中で美食を楽しむ、といった文化はないようだ。
駅弁とお弁当の違いを周りのフランス人に説明したところ、「長距離を移動する時のとても良いアイデア。フランス企業も続けば良いのに!」との声があった。
確かに、フランスでは調理済みの食べ物を日本よりもずっと低い温度で販売しなければならない、という規制がある。
しかし、ブルターニュ地方の名物やアルザス地方の名物、南仏の名物など、各地の名産を扱う駅のテイクアウトメニューがあれば、やはり食べてみたいと思う。
そしてもちろん、鶏めしの味もフランス人に好評であった。
「この茶色いごはんは何?」「お花の形の人参が可愛い」「色が綺麗」と、まずは見た目に釘付けに。
味が染みた鶏肉、特にシイタケのお煮しめが美味しい!とのことで、「全種類試してみたい」と言っていた。
酢飯が好きなフランス人は多いのだが、炊き込みご飯はあまり知られていない。
ということで、今回の駅弁は日本の食文化を伝える良いきっかけとなった。
フランスの人々は、美味しいものも好きだし、旅も大好き。
バカンス大国フランスと、移動中の美味しい食事。
この二つはフランスという国においてもっとリンクしても良いのでは、と思う。
国内旅行の特需は今後も続きそうなので、駅で買える食事の選択肢がこのまま増えてくれれば嬉しい。(内)