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パリ最新情報「エッフェル塔がピンクに染まる。ピンクリボン月間スタート!」 Posted on 2021/10/03 Design Stories
10月は、乳がんの早期発見・早期診断・早期治療の大切さを伝える活動「ピンクリボン運動」の世界的な強化月間である。
乳がんと闘う全ての女性にエールを送るため、10月1日の夜、エッフェル塔は美しいピンク色に染められた。
ピンクリボンとは、乳がんの正しい知識を広め、自分や家族の健康のために早期発見の重要性を呼びかける世界共通のシンボルマーク。今日では欧米諸国をはじめ、日本でも広く浸透している。
この運動は、もともとは1980年代にアメリカから始まった。乳がんで娘を亡くした女性の母親が“このような悲劇が繰り返されないように”との願いを込めて孫娘にピンクのリボンをこしらえた。ここからから乳がんの啓発運動がスタートしたという。
フランスでは、生涯で8人に1人の女性が乳がんを患う。フランス女性にとっては一番身近にして一番リスクの高いがんであり、それだけに早期発見、早期治療が何より大切とされている。
統計によると、2018年に乳がんで亡くなった女性はフランス国内でおよそ12,000人。加えて毎年5万件もの乳がんが発見されているそうだ。
10月1日の夜、ピンク一色となったエッフェル塔のふもとシャンドマルス広場では、ピンクリボン月間の初日を記念するイベントが開催された。
協賛は化粧品大手のエスティ・ローダー、仏雑誌マリー・クレール、そして仏下着メーカー大手のAubade(オーバードゥ)。
乳がんを克服した、もしくは寛解期にある30人の女性がピンクのリボンに身を包まれ、エッフェル塔の下に設置された巨大なキャットウォークを歩きながらメッセージを発信した。これは28年目のピンクリボン運動にして初めての試みだったという。
そして女性たちは「自分自身のため、そして男性は愛する人のため、乳がんの正しい知識と早期発見の大切さに気づき、乳がん検診を受けてほしい」とカメラを通してフランス中にエールを送った。
こうして1日から始まったピンクリボン運動は、世界中で今月末まで実行される。
フランスでは数多くのチャリティー活動がこの10月に予定されていて、自治体規模で啓蒙活動が行われる。
また化粧品メーカーのOrigins(オリジンズ)は、人気商品のナイトマスク「Drink up Intensive」の購入に対して、一本につき2.50ユーロを仏ピンクリボン協会に寄付することを発表。その他にもクスミティやDIM、ヴェレダといった多数の国内メーカーが寄付を表明している。
https://www.instagram.com/p/CQ-i8nrh9A-/
出典:Origins公式インスタグラムより
そして集まった寄付金は、乳がん研究を行う医師への研究費、マンモグラフィー技術試験を受ける看護師への教材費、医師の海外研修のための奨学金などに割り当てられるという。
2004年以来、フランスのピンクリボン協会にはこれまでに418万ユーロ(約5億4千万円)以上の寄付金が集まり、80人以上の研究者や介護者に渡された。
2021年はすでに前年より28万ユーロ多い、85万ユーロ(約1100万円)もの寄付金が集まったと公式ホームページで発表している。
さらに仏ピンクリボン協会は、乳がん研究の分野で活躍する医師、研究者、そのチームを称える「ピンクリボン大賞」の授賞式も毎年行っている。
今年は「ストレスたんぱく質と癌」の研究においてスペシャリストである、ディジョン市のカルメン・ガリド―博士に大賞と20万ユーロ(約260万円)が送られた。
乳がん検診のマンモグラフィーは痛みを伴うものだが、早期に発見された乳がんは10例中9例が治癒する可能性があるとされている。
しかし24時間という決められた枠の中で生活をこなさなくてはならないし、自分のからだと向き合う時間は持てそうで持てない。ならば、ピンクリボン月間にあやかって、毎年10月を自分のメンテナンス期間とするのも良いかもしれない。
エッフェル塔だけでなく、世界中のモニュメントがピンクに染まった10月1日の夜。この光景を思い出して、大切な人のためにも、自分の健康と改めて向き合っていきたい。(内)