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パリ最新情報「空ボトルも持ち込み可!パリ初のエコワインバーが誕生」 Posted on 2022/05/04 Design Stories  

 
ワイン好きに朗報、と言えるユニークなワインバーがパリ2区に誕生した。
フランスでは若者のワイン離れが止まらない、とされている。
ところが、愛好家による愛好家のためのバーが、逆に進化していて面白いのだ。
この4月にオープンしたVignes en Ville(ヴィーニュ・アン・ヴィル)は、「樽」から直接ワインを注いでくれる新しいタイプのバー。
 

パリ最新情報「空ボトルも持ち込み可!パリ初のエコワインバーが誕生」



 
店の壁一面にずらっと並んだ樽が見もので、お客さんはこのすべてを試飲することができる。
提供するワインはオーガニックワインのみ。
創業者はフランス中を旅し、環境に優しいワイン造りを行う生産者と出会い、直接取引することに成功したという。
と、ここまでだと「ふーん」と流してしまいそうな話題だが、Vignes en Villeのコンセプトは、中身も外身も「完全サステイナブル」であること。
 

パリ最新情報「空ボトルも持ち込み可!パリ初のエコワインバーが誕生」

 
つまり、ボトルは再利用のものを使っており、持ち帰りの場合は空のマイボトルを持ち込んでワインだけを注いでもらうことができる。
ゴミを減らす目的の他に、インフレで値上がりするガラス容器の削減に配慮した。
ただ気になるのは、ボトルの衛生問題だ。
コロナ禍が完全に終わったわけではないし、そうでなくてもボトルの使いまわしはワインの品質に関わるのではないか?という疑問も出てくる。
 

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パリ最新情報「空ボトルも持ち込み可!パリ初のエコワインバーが誕生」

 
そこでVignes en Villeが取り入れたのは、ボトルを洗浄する専用のマシン。
一つのボトルをおよそ200回まで洗うことができ、水の量も通常の30%削減できるのだとか。
店内で丁寧に洗浄・殺菌したボトルに、キャップには蝋を使用する。
ラベルなどを気にしない場合は、こうしてサステイナブルにワインを楽しむことができる。
実際、空のボトルを持ち込んで、持ち帰り用に注いでもらっているパリジャンが何人もいた。(ただし持ち込みの場合はお店で洗浄サービスをしていない)
 

パリ最新情報「空ボトルも持ち込み可!パリ初のエコワインバーが誕生」

 
提供するワインは、赤20種類、白10種類、ロゼ4種類。
グラスは6ユーロから、ボトルは29ユーロからで、その場で樽から出てくるのもエンターテインメント性があって面白い。
ただオーガニックワインは、化学的な農薬・肥料を使わないため、年ごとの天候がブドウの出来に強く影響する。
添加物も少ないため、生産者の力量が直接ワインの味に反映するという。
なので口に合うかどうかは他のワインと同様、自身が飲んでみないと分からない。
 

パリ最新情報「空ボトルも持ち込み可!パリ初のエコワインバーが誕生」



 
キリっとしたソムリエがいるレストランも素敵だが、パリで増えているのはこうしたカジュアルなワインバーである。
知性が求められるワインバーの敷居をグッと下げ、よりオープンに、よりカジュアルに。
そこにエコが加わることが、今のパリのトレンドだ。
Vignes en Villeは14時から24時まで毎日営業しており(日曜営業というのもパリの新たなトレンド)、夕方のアペロタイムは一番の盛り上がりを見せるのだとか。
メニューもアペロ使用で、トリュフ入りのイタリアハム、コルシカ島のシャルキュトリ(ソーセージや生ハムなどの加工肉)など、ワインのお共が盛りだくさん。
 

パリ最新情報「空ボトルも持ち込み可!パリ初のエコワインバーが誕生」

※イベリコ豚の生ハム

パリ最新情報「空ボトルも持ち込み可!パリ初のエコワインバーが誕生」

※1880年から続くシャトー・ド・クラピエのロゼワイン

 
コロナ、悪天候、インフレ、ウクライナ問題とワイン業界も大変な時期を迎えている。
フランスの偉大なワイン文化が廃れてしまわないよう、影ながら支えたい。(大)
 

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