欧州最新情報
パリ最新情報「パリの美しきイースター・チョコ2023。フランスはチョコレートの季節に」 Posted on 2023/04/05 Design Stories
イースターが近づき、パリのデパートでは独創的なチョコレートが姿を現すようになった。
近年、日本でもよく聞くようになったイースター(復活祭)は、フランスではクリスマスと同じくらい大切な行事となっている。
またイースターの日は、春分の日以降、初めての満月のあとの日曜日と決められている。
そのため今年は4月9日に設定されているが、フランスにおいては翌日の月曜日も必ず祝日となるのが習わしだ。
もともとはカトリック行事にルーツを持つイースター。
しかし今日では宗教的な意味合いは薄く、無宗教の人にも「美味しいチョコレートを食べる日」として親しまれている。
ということでパリのパティスリーでは今、イースター用のチョコレートが続々と登場し、通りすがる人の目を楽しませてくれている。
年々進化するフランスのイースター・チョコが今年はどんなデザインで登場したのか、パリを代表する二つのグルメ館からお届けしたい。(ギャラリー・ラファイエット、ボン・マルシェの二つです)
マロン・グラッセ発祥のお店として有名な、パリの老舗コンフィズリー「ボワシエ」。
こちらのイースター・チョコはレース仕様となっており、卵のほかにウサギと亀、魚の三つが登場した。
コンセプトは「誰が一番早くイースターのパーティーに辿り着けるか」だそうで、レースのチョコレートに変身して皆が全力疾走するのだという。
巨匠アラン・デュカスのショコラトリーでは、動物たちをモチーフにしたグラフィックなチョコレートが登場した。
テーマは「イースターの農場」で、子羊、豚、ウサギなどが“レゴ”のようなブロックチョコになった。
こちらもボワシエと同様、ダークチョコレートとミルクチョコレートの二つの展開で、卵型の中にはプラリネがぎっしり詰まっているのだとか。
同じく巨匠のピエール・エルメは、世界の七不思議のひとつであるマヤ文明にインスピレーションを受けたという。
チョコレートは「ユカタン」と名付けられ、マヤ遺跡のピラミッドをもじった形となっている。
そしてこの中身は、カカオ64%のダークチョコにヘーゼルナッツ・プラリネ、ピスタチオ・プラリネなどが贅沢に詰められているそうだ。
ちなみに南米はカカオの生産地でもあるため、フランスのショコラトリーではこちらの文化に敬意を表することが多い。
以上がパリのデパート、ギャラリー・ラファイエットのグルメ館に置かれていたチョコレートであった。
それでは世界最古のデパート、ボン・マルシェはどのようなイースター・チョコを用意したのか。簡潔に見てみたい。
ボン・マルシェの食品館では、センスの良い、可愛らしいパッケージがたくさん並んでいた。
こちらでは伝統の“卵”に関したパッケージが多くあり、食べた後も取っておきたくなるようなデザインがあちこちに見られた。
イースターとはカトリック行事だけでなく、春の訪れ、植物や動物の再生に関係したお祭りでもある。
そのためフランスの古くからの言い伝えでは、イースターの日に卵料理を食べると「一年間、無病息災で過ごせる」などと言われている。(鳥が卵の殻を破ってこの世に誕生する姿が、生命力を感じさせるためなのだとか)
※ボン・マルシェでは、縁起の良さそうな詰め合わせセットもたくさん置かれていた。
クリスマスケーキに続き、ガレット・デ・ロワ、バレンタイン、イースターと、パティシエたちの大仕事が冬から春にかけてずっと続いている。
しかしフランスではバレンタインデーよりもイースター時期の方が、チョコレートを多く消費しているかもしれない。
そんな季節に勢揃いした、パリの美しきチョコレートたちであった。(チ)