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パリ最新情報「フランス、冬の干ばつが発生。32日間連続で雨が降らない事態に」 Posted on 2023/02/28 Design Stories
フランスでは現在、雨不足がまたしても深刻化している。
フランスの冬は暗く、雨が多いことでも知られているのだが、仏気象庁の発表によれば1月から2月にかけては32日間も雨が降らず、1959年以来の歴史的な記録になっているという。
仏エコロジー移行省(la Transition écologique)のクリストフ・ベシュー大臣はこれを受け、「観測が始まって以来、冬時期にこれほどの降雨不足に陥ったことはなく、事態は昨年の同時期よりも深刻な状況にある。国内4県ではすでに水の使用が制限され、干ばつ警報が発令されている」と26日(日)に発表した。
フランスにおける今年の冬は、気温は低いものの確かに雨が降っていない。
例年に見られるセーヌ川の増水も発生しておらず、最近ではフランスらしからぬ快晴の天気が続いている。
ただこれはフランスだけではなく、隣国イタリアでも乾燥した天候が続いているということだ。
観光地ヴェネツィアでは川が干上がってしまい、ゴンドラ、水上タクシー、救急車がすべて航行できなくなったというニュースも流れた。
先週末にパリで開かれた農業見本市に出席したマクロン大統領は、こうした冬の干ばつリスクに直面し、「計画的な節水」を各農業関係者に呼びかけた。
また大統領は「気候変動により、我々は水不足に直面する機会がますます増える。これからは土壇場に追い込まれた状態で節水するのではなく、すべてを事前に計画しなければならない。我々は希少になりつつある水という資源を大切に扱わなければならない」と述べている。
今回の冬の干ばつは歴史的だということだが、幸いにも3月には南仏を中心にまとまった雨が降るという予報が出ている。
しかし干ばつがより頻繁に起こることが将来的にも予測されるため、仏エコロジー移行省はフランス国内7つの主要河川を擁す県知事を集め、27日に緊急会議を開いた。
この会議では各自治体における水道管の漏れの修復、飲料水経路の確保、そして丘陵地における貯水池の建設と投資についてが話し合われた。
また仏エコロジー移行大臣がAFP通信の取材で明らかにした内容によれば、「今後数年間は利用できる水が、フランスでは10%から40%少なくなる」ということだ。
さらにヨーロッパの穀倉地帯の作物は枯れ、干ばつにより記録的な山火事が発生し、あらゆる現象がヨーロッパ大陸の送電網と水資源に大きな圧力をかける。
こうした干ばつは近い将来により一般化し、その期間も長く続くことが予想される、と大臣は言及している。
そのため仏メディアも今、「フランスは豊かさの終焉にある。今すぐ節水の対策を取りましょう」と呼びかけているが、短期間にこうも頻発すると、干ばつがいよいよ特別なことではなくなってきたという印象を受ける。
フランスの人々は節水を以前より心がけている。
しかしこれからはこの節水もただ気に留めるだけではなく、全員のマスト事項となっていきそうだ。(大)