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パリ最新情報「パリ市、1200カ所の水飲み場をグーグル・マップに記載開始。今夏の熱波に備えて」 Posted on 2023/04/25 Design Stories
「4月末、スペイン南部で歴史的な熱波が発生し気温が40度近くにもなる」という衝撃的なニュースが、今のフランスを駆け巡っている。
そしてこの例外的な熱さは近隣国ポルトガル、モロッコ、南フランスまで広範囲に及ぶということだ。
フランスでは年々、春の期間が短くなっている。
コートが必要だと思ったら次の日には半袖が丁度良い、という寒暖差も近年では多発している。
また最近では科学雑誌『ランセット』の調査によって、パリ市が“熱中症で死亡するリスクが高いヨーロッパの都市”の一位に選ばれてしまった。
このような事情を鑑みて、パリ市は早めの熱中症対策を市民・旅行者に向けて発表した。
内容は、グーグル・マップに市内すべての水飲み場を記載し、給水ポイントをより分かりやすく表示するというもの。
「世界水の日」である3月22日から開始された。
パリ市には150年の歴史を持つ「ウォレスの泉」のほか、公園、道路上などに合計で約1200か所もの水飲み場がある。
しかしこれまでは、パリ市の水道を管理するEau de Paris(オー・ド・パリ)のサイトに直接アクセスしその場所を逐一確認しなくてはならなかった。
これはパリ在住の人には良いとしても、旅行者には非常に分かりづらいシステムだった。
フランスにはコンビニがないので、ペットボトルの水をわざわざスーパーに出向いて購入しなくてはならない。
パリ市がグーグル・マップに記載を決めた背景には、熱中症対策以外にもペットボトルの使用削減が目的に含まれている。
なお給水ポイントに関しては、屋外のほかにカフェ、レストラン、食品店、花屋、眼鏡屋など、市内約800の店舗がパリ市に協力している。
いずれも人々に飲み水を無料で提供しており、水筒さえ携帯していれば即座に対応するということだ。
(該当店舗には“Ici je choisis l’eau de Paris”という青いステッカーがウィンドウに貼られている)
飲む義務はもちろんないのだが、徒歩でパリを観光していてどうしても喉が渇いたという時には役立つシステムだ。
グーグル・マップには「fontaine à eau Paris」と入力して検索すれば表示される。
5月以降はパリも熱波に襲われるとたびたび報道されている。
フランスは日が長いため16時前後に一番気温が高くなるのだが、出かける前に用意した水が無くなってしまった時、スーパーが遠い時などは、ぜひこの地図を活用してほしい。(オ)