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パリ最新情報「犬のフン対策にDNA記録を義務化、拾わない飼い主を特定へ。南仏ベジエにて」 Posted on 2023/07/20 Design Stories  

 
南仏の街ベジエ(Béziers)では7月16日より、犬のフンの未回収を防止するため、飼い犬のDNA採取が義務づけられることになった。
DNAは犬の唾液から採取される。
現地の獣医、一部施設などで行われ、今後飼い主は「犬のDNAパスポート」を取得しなければならない。
これによりフンを拾わなかった飼い主は特定され、清掃費用として122ユーロ(約19150円)が請求されることになる。
 

パリ最新情報「犬のフン対策にDNA記録を義務化、拾わない飼い主を特定へ。南仏ベジエにて」



 
ベジエは南フランスにあり、モンペリエにも近い風光明媚な場所である。
人口は約7万5千人で、毎年多くの観光客がベジエに訪れるという。
しかしながら街の中心部で拾われなかった犬のフンは、一か月間で1000個以上にもなっていたそうだ。
なお犬のフン清掃には年間約8万ユーロ(約1200万円)もの費用がかかっていた。
市長であるロベール・メナール氏はこうした事情を鑑み、義務化の案を5月12日に県議会に提出。期限の2ヶ月が経過しても異議が出されなかったことで、施行に踏み切った。

ただし条例は、2年間の期間限定で試験的に施行される。
7月16日より3か月間は猶予期間とし、122ユーロの請求についてはその期間のみ「寛大な」対応をするつもりだと市長は述べている。しかしベジエ市中心部では猶予期間を過ぎたあと、犬のDNAパスポートの提示を警察に求められ、提示しない場合は38ユーロ(約6000円)の罰金が科されることになる。

「2021年にはベジエの中心部だけで4万個近くの犬のフンが回収された。
観光客にこれ以上辛い思いをさせたくない」と話すロベール・メナール市長。
同氏によれば、この措置はイギリスやスペインなど、他の国々で試行錯誤されてきたものを参考にしたという。
 

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フランスでは犬のフンが放置されている。
と、フランスを訪れる観光客からは不名誉なレッテルを貼られてしまっている。
フン放置については年々厳しくなっているものの、実は自治体によってかなりの差があるのも確かだ。
首都パリでは罰金68ユーロ〜、ドルドーニュ地方のベルジュラックでは750ユーロもの罰金を科している。
しかし制度の緩い自治体もいくつかあり、そういった街ではやはり歩道が汚れていたりする。
 



パリ最新情報「犬のフン対策にDNA記録を義務化、拾わない飼い主を特定へ。南仏ベジエにて」

 
自治体によっては犬のトイレ用に砂場を設けていたり、フン回収用にビニール袋が設置されている。
にも関わらずフンが放置されているのは、マナーのない飼い主たちが、街を清掃してくれる清掃作業員の手に頼っているからかもしれない。
しかし今後ベジエの街では、こうした清掃作業員がフンを見つけた場合、検体を採取して飼い主を特定できるようになる。

もちろん犬を飼うフランス人全員がフンを放置している、というわけではない。
マナーをきちんと守っている飼い主たちからは、今回の措置を「当然」とする声が多数寄せられている。
またベジエの獣医師も、「意識が欠如した飼い主に対しては良いアイデアだと思う。実際にどうなるか今後の経過を見てみたい」と話しているという。

さらにロベール・メナール市長は9月の2日間、ベジエの中心部にDNAを無料で摂取できるセンターを設置すると発表。
「フンを回収するために清掃作業員を増やしても意味がない。やるのは飼い主だ」などと述べている。(チ)
 

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