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パリ最新情報「使い捨てプラスチックのない五輪へ。きっかけ作りを願う、開催地パリの試み」 Posted on 2024/05/21 Design Stories
7月26日から開催されるパリオリンピック・パラリンピックでは、世界の五輪ファン、約1500万人がフランスに集うと予想されている。
こうしたイベントには「使い捨てプラスチック」がつきものだが、今回のパリ五輪ではそれが各所で禁止される。深刻化する環境問題に配慮したかたちだ。
会場付近では、使い捨てのペットボトルやプラスチック容器が姿を消すことだろう。
代わって現れるのは、洗って再利用できるタイプのカップやプレート、そしてガラス瓶。マイボトルやタッパ容器の持参も推奨されている。
今回はパリ五輪の公式パートナーであるコカ・コーラが協賛しており、期間中はソーダファウンテン(清涼飲料水を供給する機械)が200カ所以上も設置されるという。競技会場および周辺を訪れる人々は、飲みものをそこからカップで購入する。
パリ中心部ではコンコルド広場やエッフェル塔スタジアムなど8つの競技会場が「使い捨てプラスチックゼロ」を宣言しているので、観戦予定の方はマイボトルの持参が望ましい。
(コンコルド広場、グラン・パレ、アンヴァリッド、アレクサンドル3世橋、エッフェル塔スタジアム、シャンドマルス・アリーナ、アリーナ・ラ・シャペル、パルク・デ・プランス)
※競技会場の敷地内には無料給水ポイントも設置され、水が必要なときはいつでも誰でも給水できる仕組みになっている。
©Paris
8月10日、一般市民も参加できるマラソン競技「Marathon pour Tous(みんなのマラソン)」でも、給水ポイントに再利用可能なカップが用意される。
「Marathon pour Tous(みんなのマラソン)」は、一般市民がアスリートと同じルートを走るという五輪史上初めての試みだ。(開催は競技終了後、8月10日夜)
なお使用したカップは洗浄後再びリサイクルに出されるか、慈善団体に寄付される予定になっている。
今年4月に行われたパリマラソンではすでに同様の試みが行われており、再利用可能なカップ3000個が市からレース参加者に配られた。パリ市はこれにより、ペットボトルのゴミを完全に無くすことができたと報じている。
また1日4万食が提供されるオリンピック選手村の食堂でも同じく、食器類はすべて再利用される。こうした試みは飲食用の容器に限らず、お土産に使われる過剰包装にも適用されるということだ。
パリ市は五輪をきっかけに、プラスチック問題に世界一丸で取り組む必要性を強調する。期間中は人々がマイボトルを手に給水する様子も画面に映し出されることだろう。
しかし使い捨てプラスチックゼロへの取り組みは、以前よりパリ市全域で始まっていた。
たとえばパリのスポーツジムでは、再利用可能なカップの採用、ペットボトルの配布中止、会員やトレーナーの意識向上などを通して、使い捨てプラスチックの使用をやめる役割を担っている。
ファーストフード店でもイートイン容器を洗って再び使えるものに変えるなど、多くの企業がイニシアチブを取りながら市民と一緒に取り組んでいる。よって人々も、プラスチックを取り巻く数々の変革に柔軟に対応できている印象だ。
※このステッカーがある場所ではマイボトルに無料で水を入れられる。カフェやスーパーなど、パリ市内に800か所以上ある。
パリ市はこうして、長い時間をかけて使い捨てプラスチックの廃止を呼びかけてきた。
普段の生活でも使い捨てプラスチックが姿を消しつつあるので、五輪が終わった後も、パリを訪れる際にはマイボトルを用意したい。(や)