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パリ最新情報「フランスの遺産を無料で大公開!『ヨーロッパ文化遺産の日』に沸くパリ」 Posted on 2024/09/23 Design Stories  

 
フランスでは9月21、22日の2日間にわたって、「ヨーロッパ文化遺産の日」と呼ばれる特別なイベントが開催された。
「ヨーロッパ文化遺産の日」とは、歴史的建造物・大統領府・宮殿・教会など、普段は非公開の場所が一般に向けて開放される、年に一度の貴重なイベントだ。
 

パリ最新情報「フランスの遺産を無料で大公開!『ヨーロッパ文化遺産の日』に沸くパリ」

※現在のパリ。「芸術の秋」のはじまりに相応しいイベントが開催された



 
1984年にフランスで誕生した「ヨーロッパ文化遺産の日」。
これは、当時の文化大臣が「フランスの素晴らしい歴史遺産をみなに紹介しよう」と、一般の人々に無料で公開したことがきっかけだった。
結果、この試みは大成功をおさめ、今では“年に一度の文化的イベント”として、ヨーロッパの約50か国に広がっている。

そんな「ヨーロッパ文化遺産の日」も、今年で41年目となった。2024年はテーマを「航路遺産」「海洋遺産」とし、フランス国内では約1万6000カ所以上の施設がイベントに参加した。
 

パリ最新情報「フランスの遺産を無料で大公開!『ヨーロッパ文化遺産の日』に沸くパリ」

※パリ・オリンピック開会式の舞台になった、コンシェルジュリー(かつての牢獄)も無料で見学可能に



 
対象の施設は、非常に幅広い。ルーブル美術館といった有名美術館(有料→無料に)はもちろん、省庁、裁判所、劇場、城、企業など、数多くの施設がその扉を開く。
中には仏企業のロレアルが工場を開放し、クリームやシャンプーがどのように作られるかを見学者に紹介するというイベントもあった。
 

パリ最新情報「フランスの遺産を無料で大公開!『ヨーロッパ文化遺産の日』に沸くパリ」

※パリ市庁舎は「市長室」や「議事堂」を一般公開

 
パリの人気スポットといえばやはり、大統領官邸である「エリゼ宮」だろう。混雑する場所はあらかじめ予約制を設けているが、エリゼ宮に関しては受付開始からすぐに枠が埋まってしまうほどだ。
 

パリ最新情報「フランスの遺産を無料で大公開!『ヨーロッパ文化遺産の日』に沸くパリ」

※人気の場所は行列に!



 
美しいステンドグラスで有名な「サン・シャぺル」や、世界遺産の「ヴェルサイユ宮殿」も人気が高い。
2024年のヴェルサイユ宮殿では、オリンピックイヤーにちなんで厩舎(馬が生活する小屋)が開放され、かつての戴冠式に使用されたさまざまな馬車が展示されたという。
 

パリ最新情報「フランスの遺産を無料で大公開!『ヨーロッパ文化遺産の日』に沸くパリ」

※ステンドグラスが美しい「サン・シャぺル」も無料で公開された

 
12月に再開を控えたノートルダム大聖堂前にも、たくさんの人が集まっていた。
この日は、大聖堂前の広場が「職人のアトリエ」に様変わり。修復作業を担当する実際の職人たちが、来訪者に向けてそれぞれの作業を紹介していた。
 

パリ最新情報「フランスの遺産を無料で大公開!『ヨーロッパ文化遺産の日』に沸くパリ」

※骨組みの修復作業のデモンストレーション。木材もフランス国内から運ばれる



 
ガラス職人、屋根職人、壁画修復士など、ノートルダム大聖堂の再建にはフランスのプロ集団が関わっている。しかし実際の作業を目の当たりにできるのは、この「ヨーロッパ文化遺産の日」のみだという。※火災事故から再開までの5年間だけのイベントだった。
子ども向けのワークショップも開催されていたため、参加した子どもたちにとっては素晴らしい思い出となりそうだ。
なお「ヨーロッパ文化遺産の日」は、職人たちにとっても“普段の作業を知ってもらえる”とても良い機会なのだとか。
 

パリ最新情報「フランスの遺産を無料で大公開!『ヨーロッパ文化遺産の日』に沸くパリ」

※壁画・装飾修復士たちの作業を見学

 
このように、文化・芸術を身近に感じられるのが「ヨーロッパ文化遺産の日」の素晴らしいところであり、待望される理由なのだと思う。芸術の入り口を狭めず、懐深く受け入れるのも非常にフランスらしい。
「ヨーロッパ文化遺産の日」は毎年9月の第三週末に開催されるので、今後のパリ旅行にぜひ訪れてみてほしい。(オ)
 

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