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パリ最新情報「2月2日はクレープの日!フランス人が愛してやまないクレープの秘密」 Posted on 2022/02/01 Design Stories
2022年もあっという間に2月となった。
日本では2月3日の節分の日に豆まきをしたり、恵方巻きを食べたりする風習があるが、フランスでは毎年2月2日に「クレープ」を焼いて食べる習慣がある。
これは、「Chandeleur(シャンドラー)」と呼ばれる、キリスト教に由来する行事のこと。
ラテン語でロウソクのフェスティバルという意味があり、クリスマスシーズンの最終日を告げる日でもある。
毎年この季節が近づいてくると、フランスのスーパーの広告にはクレープやジャムの写真が目立つようになり、雑誌も「パリでおいしいクレープが食べられるレストラン」といった特集を組むようになる。
では、なぜロウソクなのか、なぜクレープなのか?
「どんな風に家庭で食べているの?」といった情報とともに、フランス人が愛してやまないクレープの秘密をご紹介したい。
シャンドラーの歴史は古く、5世紀に遡る。
イエス・キリストが生まれたクリスマスから数えて40日目の2月2日に、母マリアは息子を司祭たちにお披露目するために神殿に行った。
その際、お清めの儀式が神殿で行われ、人々は一晩中ずっとロウソクを手に見守っていたという。
ヨーロッパにおいて、ロウソクは希望の光を意味するもの。
紀元5世紀、当時の教皇ゲラシウス1世はマリア様の行いに回帰し、またその年の豊作を願って、2月2日にロウソクを持って街を行進するという行事を発案した。
そして参加した農民たちは、行進の終わりに、昨年の余剰小麦粉でクレープを調理する習慣を作った。
金色で丸いクレープは、光、太陽、快晴を象徴している。
寒くて暗い冬に終わりを告げ、春の訪れを感じさせてくれるクレープを、ロウソクを灯しながら食べましょう、というのがシャンドラーの起源であった。
しかしキリスト教に馴染みのない人や子供たちにとっては、ロウソクよりもクレープの日という印象が強い2月2日。
フランスでは、この日は年間で一番クレープが焼かれる日と言っても良いのではないだろうか。そして、フランス人はクレープを本当に愛している。
簡単で安く、ティーンエイジャーが初めて覚える料理。
クレープ専用の背の低いフライパンもスーパーで気軽に手に入り、高速のサービスエリアでもクレープを焼いている。
パリに至っては本場ブルターニュ地方のクレープ・サレ(ハムエッグなどをのせたしょっぱいクレープ)、クレープ・スクレ(甘いクレープ)を提供する「crêperie=クレペリー」も無数にあるほどだ。
フランスで人気のフレーバーはというと、それは圧倒的にヌテラ。(イタリア生まれのヘーゼルナッツ・チョコペースト)
生クリームにフルーツにシロップに、、、といった豪華な盛り付けはあまりしないようで、生地そのものにこだわる傾向がある。
薄く、パーフェクトな焼き目、というのが大切で、具もシンプルなものが多い。
代表的なものにはジャム、はちみつ、バター、塩キャラメルなどがあり、どれか一つを塗って食後のデザートもしくは午後のおやつとしていただく。
クラシックな食べ方に砂糖だけ、というのがあるのだが、子供からご高齢の方まで好んで砂糖クレープを食べている光景に、渡仏したての時は驚いた。
なかには砂糖にレモン果汁を足して食べると美味しいよ、という意見もあった。
ということで、クレープはフランスのおやつ代表であり、「クレープの日」ができるほど大人からも子供からも愛されている。
12月はブッシュ・ド・ノエル、1月はガレット・デ・ロワ、2月はクレープとノンストップでスイーツ情報が続いているが、実はフランスにはスイーツにまつわる言い伝えや記念日がまだまだある。
身も心も甘くなるような、美味しい話題を今後もお届けしたい!(聖)